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【クラブ選びの新基準】#1 いいショットだけでなく“ミスショット”にも目を向けよう

練習場ではナイスショットが出るのにコースに行くとミスばかり。そんな人は、クラブの選び方に問題があるのかもしれない。コースで結果を出すためのクラブ選びの基準を、敏腕クラブフィッターの吉田智さんに教えてもらった!

TEXT/Kosuke Suzuki ILLUST/Hideki Kamekawa PHOTO/Takanori Miki

解説/吉田 智

「プレミアムゴルフスタジオ」主宰。プロ、アマ問わず幅広いゴルファーのフィッティングを行っている敏腕フィッターで、YouTubeなどでも活躍中

「ナイスショット3球の平均」で
クラブを選んでいませんか?

練習場ではナイスショットが出ているクラブが、コースではどうにもこうにもミスばかり。こういった経験を持つアマチュアは多いと思うが、その理由はクラブ選びに問題があるのかもしれない。ということで、東京・代官山の「プレミアムゴルフスタジオ」でフィッターとして活躍する吉田智さんに話を聞いてみた。

吉田さんはアマチュアのみならず、片山晋呉や何人もの女子プロたちのクラブ調整を任されており、プロとアマチュアの違いも間近で見ている立場。その吉田さんは、コースで結果が出ないアマチュアは、クラブ選びの基準が甘すぎると言う。

「最近ではほとんどの人が試打のときに計測器で弾道データをとると思うのですが、その際にチョロや大ミスを除外してカウントしていませんか? コースでミスが出るという人は、他でもない、この球がコースで出ているんです。10球打ったうちからミスショットを省いて、結果がよかったナイスショットの平均3球でクラブを選んだりする。こうやってクラブを選んでいるうちは、コースで結果は出ないと思いますよ」

確かに試打室では、チョロが出たときなどは「いまのはナシで!」と除外してナイスショットだけをチェックするケースが多いかもしれない。

これに対してプロがフィッティングする際は、10球打ったらその10球全部の平均値をとって考える。「プロだからチョロは出ないでしょ」と思うかもしれないが、ミスの大小はあれど「いまのはナシ」と除外することはないという。吉田さんがフィッティングする際は、アマチュアでも必ずチョロの結果まで含めて判断しているそうだ。

「何発かチョロが出てもいいんです。でもチョロにもいろいろあって、ホントに10ヤードしか飛ばないような球もあれば、下っ面だけど100ヤード以上飛ぶ球もある。そういった違いまで含めて10球全部のデータをちゃんと見て、初めて意味のあるデータになるんです。『いい球』だけを見るのは、最高のナイスショットが出たときの期待値は測れますが、コースで実際に出る球の全容はわかりませんよ」

実際に出ているミスから目をそらしたフィッティングは所詮「願望」でしかない。これではコースで結果が出ないのも当然なのかもしれない。

「アマチュアのクラブ選びは“願望”が入りすぎている」
試打してクラブ選びをする際、アマチュアはミスから目をそらし最長不倒距離の出たクラブを選ぶなど「願望」主体になりがち。しかしプロはコースで平均的にいい結果が出るクラブを見つけるために、不都合な現実からも目をそらさない。だからミスも含めた総合的なデータを重視するのだ

ランも弾道データもキャリーの距離が大前提

そう考えると、「練習場でナイスショットが出ている」というのも幻想かもしれない。次々とティーアップされる球をバンバン打って、確かにナイスショットは出ているかもしれないが、それ以上にミスショットが出ている事実を見ていないだけという可能性も大きい。

そうならないためにも、悪かったショットの「ミスの幅」もチェックすることが大事だと吉田さんは言う。

「10球打って一番曲がった球、一番飛ばなかった球はどんな結果だったか。たとえ1〜2球でも40〜50ヤード曲がるOB級の球が出たクラブと、最大でも20 ヤード程度の曲がりで収まったクラブ、コースで結果が出るのは後者です。後者は10球全部の平均をとれば前者よりもいい数値になることが多いですから、その点からもミスの幅や平均値を見て判断することはとても大事なんです」

そしてもうひとつ、プロとアマチュアのクラブ選びで決定的に違うポイントがあるという。それは飛距離をキャリーで見るのがプロ、トータルで見るのがアマチュアだという点だ。

「ランは、落下地点の傾斜や硬さ、スピン量や落下角などによって変わる結果論。だからプロはまずはキャリー距離を見て、ランの距離もスピン量も打ち出し角も、『これだけキャリーが出たうえで』という前提で考えるんです。トータル300ヤード飛んでキャリーが200ヤードというデータと、トータル280ヤードでキャリーが250Yというデータなら、プロは確実に全員が後者を選ぶと思います」

一方でアマチュアの多くは、キャリーが少なくてもトータル距離が出ているクラブを選びがち。実はこれは多くの場合、高さもスピン量もギリギリの弾道である場合が多い。その結果、バンカーを越えられなかったり、打ち上げでは全然飛ばない、少しのミスヒットでスピン量が不足してドロップしてしまうようなクラブを選びがちなのだ。

「ボール初速やスピン量などのデータも、数値だけだと意味がなくて、弾道の内容を分析する手段でしかありません。そこをはき違えないようにすることが大事ですよ」

試打の鉄則1
“チョロ”も含めた平均をとる

試打する際にはチョロや大曲がりなどの大きなミスも出るが、その結果を除外せずに判断基準のひとつとすることが大事。実際にコースでもその球は出るのだ。

試打の鉄則2
「ミスの幅」をチェックする

曲がった幅、チョロした球の距離など、出たミスの大きさ、幅を考慮することも大事。最長不倒距離も出るが、10発中2~3発のOBが出るようなクラブはコースではリスクが高すぎる。

試打の鉄則3
「キャリーの距離」を基準にする

コースで重要なのはランまで含めたトータル距離よりもキャリー距離。すべてのデータはキャリー距離を前提に判断しなければ意味がない。

ここに注意!
打ち出しが低いと初速が高く出る

試打時に、ボール初速の数値を重視しすぎるのは危険。同じクラブのロフト違いを打てば小ロフトのほうがエネルギーのベクトルが前に向くので、初速は速く出る。その結果、打ち出し角やスピンが不足し、キャリーが足りないクラブを選んでしまうケースも多い。

では、クラブ選びは具体的に
どのように進めていけばいい?

月刊ゴルフダイジェスト2023年3月号より

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