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「ただゴルフ場を造るだけではない」82歳のニクラスが着手した426番目のコースとは?

ジャック・ニクラスはいまだ衰え知らずの“現役選手”だ。

といってもこれは試合の話ではない。ゴルフコースの設計・デザインの話だ。ニクラスが設計したゴルフ場は現在、世界46カ国に425コースあるが、82歳のニクラスは新たなコースを造るため、いまだ精力的に動いている。

なかでも10月にスコットランドのアバディーン南部にある歴史的な港町、ストーンヘブンで着工したばかりだというゴルフコースは特別だ。「単にゴルフコースだけを造ろうとしているのではない。私がやってきたことは、人の生き方や人生そのものを作るのに関わること。コミュニティを作り出し、それを成長させていくことなのです」と、ニクラスは自身のデザイン会社のウェブサイトで語っている。

海が見える丘の上にそびえ立つウリー城はこれまで廃墟だったが、ここをホテルに改修し、これを囲むように18ホールのコースを造成。さらにその外周を囲むように“ニクラスビレッジ”という邸宅街を建設。ここに一大ゴルフコミュニティを作るというのだ。こういった形式はすでにアメリカやアジア、オーストラリアなどではあったが、スコットランドでは初だという。ニクラスの手による東京クラシックCも住居こそないものの、乗馬やキャンプを楽しめる施設が隣接しており、これもニクラスのいう“コミュニティ”の一環だろう。

気になる価格帯だが、もっとも安い住宅用の1区画が60万ポンド(約1億円)、5ベッドルームの建売住宅が95万ポンド(約1億6000万円)と、比較的アッパー層向けなコミュニティとなる模様だが、ニクラス設計のシグネチャーコースに5ベッドルームの豪邸と考えれば、意外と現実的な値段かもしれない。

この7月にはセントアンドリュースの名誉市民となり、05年にはスコットランド銀行の5ポンド紙幣の顔となったニクラス(存命中に紙幣に描かれたのは、ロイヤルファミリーを除いてニクラスだけだそう)。そんな人気者がスコットランドでどんなゴルフコミュニティを作るのか楽しみだ。

週刊ゴルフダイジェスト2022年11月22日号より