Myゴルフダイジェスト

「3本の指に入る美しさ」栃木県・小山GCの“桜並木”が愛されるワケ

関東地方では、3月末から4月初めにかけてが桜の盛りだったが、いまも桜満開の場所は少なくないだろう。日本中に桜が咲き乱れるコースは数あれど、“桜のコース”といえば、まず名前が挙がるのが栃木県にある小山GCだ。

コース内にある約1000本の桜は、今年もその絢爛たる姿を見せてくれた。桜のほかにも、椿やこぶし、つつじ、百日紅(さるすべり)の花々が点在する。また梅林や栗林もあって、秋には紅葉と、四季折々の風情で楽しませてくれる。

なぜこんなに植栽が多いのか? 小山GCの歴史をひもとくと、その理由もわかろうというもの。同GCは1960年(昭和35年)に、春光グループ(日立・日産コンツェルンの前身)の保養・厚生施設として開場した。この地は日産コンツェルン、久保田鉄工(現クボタ)創業者系の久保田篤次郎(戦前、学生ゴルフ界で活躍した久保田瑞穂の父)の別荘で、庭園だった(アウトコースは農園)こともあり、植栽が多いのもうなずける。コース設計は間野貞吉。

桜に話を戻す。同GCにある1000本のソメイヨシノは、植えられてから62年が経つ。ソメイヨシノの寿命は60年とも70年ともいわれるから、同GCのそれは間違いなく老木である。植え替えるのかと問うと──。

「枯れてからでは遅いのです。というのも、7番ホールのフェアウェイ左サイドにある桜並木は1本でも欠けると、“並木”になりません。なので、木と木の間に若木を埋めていこうと、実行し始めています」(小山GC支配人・陳野裕治氏)

全国のゴルフ場の桜を追いかけているカメラマンの細田榮久氏は「小山は全国でもベスト3に入ります。特に7番、13番、15番はすばらしい。後は小金井CC、相模CCですかね」。

会員であった作家の城山三郎は生前、この季節になると足しげく通い、桜を愛でたという。

ソメイヨシノはクローン種のため、一斉に咲き一斉に散る。その潔さで人気も高いのだが、自生しないし、病気にも弱い。意外にも“虚弱体質”なのだ。特に老木となってからは心配りが大事になる。

同GCにはソメイヨシノではないが、樹齢250年になるエドヒガンが9番ティー脇に立っている。幹は同じだが、2本に分かれていた1本が強風のためか倒れてしまい、桜好きの会員を嘆かせている。

同GC、一生に一度は訪れたいコースである。

安田幸吉や浅見緑蔵も愛した美しいコース

週刊ゴルフダイジェスト2022年4月19日号より

こちらもチェック!

  • 長崎県五島列島、北端の2つの島にある「日本のリンクス」にテレビカメラが入った。 その2島とは、小値賀(おぢか)島と宇久(うく)島。小値賀島は周囲約30km、人口約2500人、独立心が強い島民性で市町村合併もしていない。島全体が西海国立公園に指定され、09年には“日本で最も美しい村”のひとつに選ばれている。そんな同島の断崖絶壁にあるコースは「浜崎鼻ゴルフ場」で、5ホール(1053Y・P18)……
  • 気温も上がり、いよいよ本格的なゴルフシーズンが到来。落ち着いた雰囲気の林間コースもいいが、たまにはPGAツアーの舞台のような戦略性に富むコースにトライしてみるのも一興。そこで今回は、PGAツアーの舞台も数多く設計している“奇才”と呼ばれる設計家3人が手掛けたコースを紹介。 2人目は、フランスの「ル・ゴルフナショナル」などの設計で知られる名匠ロバート・ボン・ヘギーのコースを見ていこう。 PH……