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【ゴルフ初物語】Vol.105 全英オープン開催の3コースを1日で回った4人の日本人

1日で3コース、54ホールを回ったことがある人はいるかもしれないが、そのすべてが全英オープン開催コースという稀有な経験をした4人の日本人がいた。

ロンドンから西に約1時間半、ドーバー海峡にほど近い港町に1887年に開場したのが、昨年の全英オープンの舞台となったロイヤルセントジョージズ。開場から7年後には早くも1回目の全英オープンを開催し、昨年まで15回も熱戦の舞台となった。1892年にはロイヤルセントジョージズから南にわずか数キロのディールという街にロイヤルシンクポーツが誕生。さらに1904年には、すぐ北にプリンシズが開場し、3コース合わせて“サンドイッチ3兄弟”と呼ばれるようになる。ロイヤルシンクポーツでは1909年、20年の2度、プリンシズでは32年に全英オープンを開催し、この年はジーン・サラゼンが優勝。史上初、4大メジャーでのキャリアグランドスラムを達成した。

歴史ある全英オープン開催コースが並んでいれば、すべて回りたくなるのがゴルファーの常。だが、それを1日でやってのけるという貴重な体験をした日本人がいた。

時は2015年5月15日。R&A会員でJGAゴルフミュージアム参与の武居振一氏率いる4人のメンバーは、一番北にあるプリンシズからスタート。通常の朝イチスタートは8時だが、それでは間に合わないため、事情を理解してくれた支配人が7時に繰り上げてくれてラウンド開始。昼前には2コース目のロイヤルセントジョージズへ。プレーや景色を楽しむ余裕もなく、駆け足のラウンドで最後のコース、ロイヤルシンクポーツに向かう。

この時期のイギリスは日本と比べて昼が長く、日没は21時ごろ。だが、さすがに18時のスタート時には、少し暗く、ホールアウトする頃には、あたりはすっかり真っ暗で、クラブハウスの時計だけが光っていた。待っていた支配人から祝福を受け、お土産にギネスをもらった4人は、ホテルに戻ってギネスで乾杯。その日のゴルフ談議に花が咲き、杯を重ねたという。

2コース目は昨年、全英オープンを開催したロイヤルセントジョージズ。スタート前に記念撮影。左から鈴木治巳、上林潤一、この企画を提案したR&A会員でJGAゴルフミュージアム参与の武居振一。写真を撮ったのは浦部一之

週刊ゴルフダイジェスト2022年11月1日号より