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【ゴルフの、ほんとう】Vol.734「体で感じる記憶に勝るものはありません」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

前回のお話はこちら


プレーしたコースはほぼ覚えてますが、まったく覚えられない人もいて、それは上手くない人に多い気がします。覚えたほうがゴルフは上手くなるとか、ダメなのは方向音痴と関係があるとかありますか?(匿名希望・HC5)


ゴルフは距離や地形、芝やライ、雨や風の影響といった条件を総合的に判断して、どの番手でどこへどう打つか技術と戦略がものをいう知的ゲームの側面を持っています。

つまり、ゴルフでは頭のスマートさも求められるということです。

そのためでしょうか、優れたゴルファーには並外れた記憶力が備わっている、と考える人もいるようです。

それで思い出すのがJGTO会長の青木功さんの「一度でも回ったことのあるコースのことは隅々まで記憶している」という都市伝説ですね。

以前、わたしは「ホントですか」と聞いたことがあるのですが、青木さんはほくそ笑みながら

「そんなワケないじゃん」とおっしゃっていました(笑)。

毎年同じコースで開催されるトーナメントは別として、プレーしたことのあるコースの全ホールを完璧に記憶することはちょっと難しいですよね。


あとは個人的にも思い入れの深いコース、たとえばLPGAツアーのメジャーが毎年開催されるミッションヒルズCCなどは、各グリーンの傾斜や芝目の向きまでまざまざと思い出すことができます。

かつてここを舞台にした「ナビスコ・ダイナ・ショア」は、わたしがアメリカツアーに主戦場を移してフルシーズンをプレーするようになった1983年のシーズンにメジャーに昇格したこともあって、コースだけでなくクラブハウスや周りの景観を含む印象が、心に強く残っているせいでしょう。残念なことに、ここで優勝を飾ったことはなかったんですけれどね。

わたしの場合、記憶は映像として残るタイプなので、クルマで一般道からコースのゲートに向かうアプローチレーンに入り、クラブハウス前のロータリーに到着するときのシーンが、まず頭の中に浮かんできます。そして、スタートホールのティーイングエリアですね。

ですから、久しぶりに訪れたコースでも、ティーに立ってみると、そのホールのあちこちの様子がイメージとしてよみがえってきたりもします。

ただ何度も見て知っているはずなのに、テレビだけで見るコースは細かい記憶は……。

あくまでプレーヤーとしての目を通して記憶されるもののようです。

そう考えると、コースを覚えるのが苦手だからといって一概に「ゴルフに向いてない」とは言えないと思います。

ですが、覚えてないより多少は得をするだろうとは思いますね。

コースの景観や条件は季節によっても様変わりします。

一度行ったら忘れないと豪語するのは結構ですが、記憶を信用しすぎるのも失敗につながりかねませんよ。

次回、同じコースを回るときのために、気が付いたこと、ミスしたことをメモしたりして心に刻んでおくのは大切です。

わたしの経験上、データ的な記憶よりも、体で覚えた実感的なデータのほうが重要だということ。

インパクトの感触や音、体のちょっとした動いた感覚。

そうした生々しい記憶を練習のときに繰り返し再現できれば、確実にレベルアップしていけるはずです。

ですから、コースを覚えられないと上手くなれないなんて言われたら、それだけでプレッシャーになっちゃいます。

わたしは、これまでにホールインワンを13回もやっているのですが、どこの何番で出したのか、半分も覚えてないんです。これって、忘れすぎ?

まして、方向音痴は生まれついての性分みたいなもの。だからって、ゴルフが下手とは限らないです。

コースは覚えてなくても、ティーに立ったら自然とマネジメントが頭に浮かんでくるような、そんなゴルフ脳を鍛えればいい。

アナタ自身、何をどう記憶するかが大切ということです。

「覚えるだけではなく、どう応用するか、ですね」(PHOTO/Ayako Okamoto)

週刊ゴルフダイジェスト2022年9月27日号より

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