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【ゴルフの、ほんとう】Vol.733「ふとした言葉でアナタの感性や感覚が芽生えたことありませんか?」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

前回のお話はこちら


コーチからは「腰を切れ」と言われますが、「腰を回転する」のとは何が違うのでしょうか。ボールを叩けとか打て、押せなどと、似たような表現が乱立するのはゴルフならではの難しさなのでしょうか?(匿名希望・33歳) 


飛ばしたい、ミスショットを減らしたい。

ティーチングプロに教わったり、レッスン書を読んできたと思いますが、ときとして腑に落ちないこともあるかもしれません。

ボールは「叩く」「打つ」あるいは「押す」といった表現がたくさんありますが、ゴルフだけの問題ではないと思います。

重要な点は、その動きをするときに生じるであろう体感をいかにして実感してもらうかということです。

それを上手く実行するには、どう体をどう動かせばいいか。

スムーズにできたとき、どんな感触が得られるのか──それが伝われば、あとはその感覚を求めて反復練習をすればいいと、技術指導は昔からそのように考えられてきたのだと思います。

ところが、習得しようとしている技術に関して成功体験のない相手に対して、「こういう感じ」を伝えるのは簡単ではありません。

どう動くべきか手取り足取りなぞらせても、体のどこにどの段階で力を入れればいいのかなど、微妙なタイミングは理解させるのが難しいでしょう。


どんなに言葉で伝えようとしても、最後には相手の感性に頼らざるを得ないのが実情だからです。

教える側は、何とかしてその感覚を持ってほしいと工夫を凝らし、擬音語などのオノマトペを使いながら説明することもあります。

たとえば、ミスターこと長嶋茂雄さんによる打撃指導の話があります。

松井秀喜選手への「ギューッと溜めて、バッと打て!」

「カーブはグーッと待って、曲がった時にスポーンと打てばいい」

といった、感性や感覚に訴えたレッスンといえばいいでしょうか。

オノマトペを盛り込むことで、聞いている側が具体的なイメージを描きやすくなることは、心理学的にも実証されているといいます。

松井選手が後に、長嶋監督から受けた指導が、もっとも印象に残っていると語っていたそうですが、その内容が有益だったことがわかります。

指導側と受ける側の感性がマッチすれば、大きな成果を生み出せるということです。

ですが、オノマトペを乱用するだけでは、相手の理解の助けになるものが、逆にイメージの混乱を招く結果になることもあるので気を使いながら伝えないといけないのも事実だと思います。

あなたが「腰を切る」と「回転する」のとは何が違うのかと疑問に思うのはもっともです。

そこに違いはほとんどなく、コーチは「切る」という言葉で「回転する」よりも鋭く、スピード感のある感覚を伝えたいのかもしれません。

つまり、使われている言葉自体はそれほど問題ではなくて、大切なのは体の動きについて自分なりにつかんでもらうことです。

言葉そのものの意味を深く考えすぎないようにしたほうが、いいとも言えますね。

考えれば考えるほど、人にものを教えるという行為は難しいですね。

同じ言葉を使って伝えたつもりでも、人によって受け取り方が違って伝わる場合もあり、それは伝え手と受け手の関係によるものもあり……はぁームズカシすぎる!(笑)

ですが、相手に伝えたいことがある場合、言葉の選択肢がたくさんあるに越したことはありません。

指導者はできる限りの語彙力を身に付けることが望ましいということです。

わたしもこれからも勉強していきたいと思っています。

「やっぱり亀さんのように日々の努力が大切です。私はウサギ年ですけど(笑)」(PHOTO/Ayako Okamoto)

週刊ゴルフダイジェスト2022年9月20日号より

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