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【ピート・ダイ追悼企画】鬼才と呼ばれたコース設計家が、世界のゴルフ場とゴルファーに遺したもの

GDライブラリ
2020.02.03

コース設計家のピート・ダイが去る1月9日(2020年)、ドミニカ共和国で逝去。94歳だった。戦略性が高いという月並みな言葉では表せない、ひとめでピート・ダイ設計と分かる圧倒的なホールの数々。鬼才と呼ばれた彼の作品を振り返りたい。

ピート・ダイ(1925-2020)

ピート・ダイの代名詞”アイランドグリーン”

TPCソーグラス スタジアムコース(アメリカ フロリダ州)

17番ホール(137Y・P3)

ティショットにのぞむ松山英樹(2014年プレーヤーズ選手権)

ピート・ダイの名を知らしめたTPCソーグラス スタジアムコースの名物ホール17番。ティーイングエリアからグリーンまでは、わずか137ヤードであるが、1試合平均40個は池ポチャするという難ホール。

PGAツアー中興の祖、ディーン・ビーマンの要請によって実現したスタジアムコース。オールオアナッシングのプレーが劇的なドラマを演出する。

ダイ自身が語った浮島グリーンの思想

「奇抜」といわれ、賛否両論あったTPCソーグラスの浮島グリーン。「奇抜すぎて難しすぎるという批判が出ることはわかっていました。だからショートアイアンで打てるよう137ヤードにしたのです」と日本で真理谷GC(現きみさらずGL)完成の折に来日したダイは、川田太三氏(コース設計家・ゴルフ評論家)に語った。

しかし、その後完成したPGAウエストの浮島は168ヤード、真理谷は183ヤードと延びている。

ダイの会社が大きくなり、実際のデザインは2人の息子、弟子たちに任せられるようになったことが距離延長の起因だと考えられている。

きみさらずゴルフリンクス(千葉県)

17番ホール(183Y・P3)

ロングアイアンで狙う浮島グリーンにオンするのは、上級者でもひと握り。ウェイストエリアの草も30センチ近くあり、いまも難関コースの代名詞でもある。

持続性と戦略性を融合させた先駆者

ピート・ダイの革新性はデザインの斬新さだけではなかった。現在、世界のゴルフ界で提案されているサスティナビリティ(持続可能性)を実現させた先駆者でもあった。

ゴルフ場では水資源をなるべく使わないために、芝の部分を少なくした。替わりに、その土地の自然、植生(雑草)を利用したウェイストエリア、または池などのハザードを数多く造った。

バンカーでは、なだらかな表面を生むために砂が多く必要になる、メンテナンスにも手がかかる。

しかし、バンカーの壁に枕木を張り付ければ、この問題は解決する。

ウェイストエリアは荒々しさを増し、枕木はリンクス的テイストを生んだ。

砂浜や断崖のダイナミックなロケーション選びもじつに巧みだった。

ハーバータウンゴルフリンクス(アメリカ サウスカロライナ州)

18番ホール(472Y・P4)

18番グリーン周り

海の入り江の植生を使ってフェアウェイを蛇行させ、戦略性を持たせた。グリーンサイドの枕木の壁はリンクスの趣き。PGAツアー、RBCヘリテージの舞台でもあり、グリーン奥の灯台がランドマーク。

ティース・オブ・ザ・ドッグ(ドミニカ共和国)

ティース・オブ・ザ・ドッグ 5番 コースの象徴でもある半島グリーン

1969年設計、1971年開場。自然の地形をそのまま利用したグリーン。もともとあった海辺の砂浜はメンテナンス不要だ。ピート・ダイはドミニカ共和国を気に入り、終生の地に選んだ。

ウィスリング・ストレイツゴルフクラブ(アメリカ ウィスコンシン州)

海際の地形を生かしたデザイン。全米シニア、全米プロは3回開催された。ライダーカップの舞台にもなった。

キアワアイランドゴルフリゾート オーシャンコース(アメリカ サウスカロライナ州)

18番ホールとクラブハウス

自然の砂浜をデザインに組み込んだ傑作。スコットランドのリンクスを彷彿とさせる。スタジアムコースの人工美と自然美のリンクス回帰を両立させた。

ありがとう、ピート・ダイ

ピート・ダイは、30近いメジャーコースを手掛けた。これからも熱戦の舞台として、挑戦の舞台として、私たちを楽しませてくれることだろう。

心より、ご冥福をお祈りします。

週刊GD2020年2月11日号より