Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • コラム
  • ゴルフの原点「マッチプレー」いつもと違う駆け引き・プレッシャーが味わえる!【明日使えるゴルフ用語】

ゴルフの原点「マッチプレー」いつもと違う駆け引き・プレッシャーが味わえる!【明日使えるゴルフ用語】

普段当たり前のように使っているゴルフ用語だが、その成り立ちや意味を問われたときに、正しく返せるだろうか? ここではラウンド中の会話やゴルフ仲間とのやりとりで使える、ゴルフ用語にまつわるうんちくを紹介する。


マッチプレー


現在、ゴルフのラウンドといえば、トータルスコアを競う「ストロークプレー」のことを指すのが一般的。「100切り」「90切り」など、ゴルファーの目標の多くはストロークプレーでのスコアを減らすことだ。

しかし、元来ゴルフは「マッチプレー」が基本だったとされている。その証拠に、1744年に制定された最古のゴルフルールは、ペナルティに関して「“相手”に1打を与えなければならない」といった表現がなされるなど、マッチプレーを前提として策定されていた。

今やプロの競技でもマッチプレーはほとんど見られなくなったが、ライダーカップやプレジデンツカップといったチーム対抗戦などで採用されている。また、各ゴルフ場のチャンピオンを決める「クラブ選手権」でも、ストロークプレーの予選を経て決勝トーナメントをマッチプレー形式で行うというのが主流だ。

マッチプレーというのは、簡単に言うと、1対1でホールごとにストローク数を競い、勝敗を決める方法だ。たとえば1番ホールでプレーヤーAが5打、プレーヤーBが4打でホールアウトした場合、そのホールはBが勝ちで「Bの1アップ」(Aの1ダウン)となる。2番ホールもBが勝利した場合は「Bの2アップ」、引き分けの場合は「Bの1アップ」のまま、Aが勝利した場合は「オールスクエア(イーブン)」に戻る……という具合だ。

残りホールに対して、「アップ」の数が上回った段階で、マッチの勝利が決まる。18ホールのマッチプレーであれば、たとえば16番ホールを終えた段階でAが「3アップ」となれば、残りは2ホールしかないので、Bの逆転は不可能となり、Aの勝利が決まる。このような勝利を「3アンド2」(2ホールを残して3アップという意)と表現する。

また16番ホールを終えた段階(残り2ホール)でAが「2アップ」になった場合、次の17番ホールは「ドーミーホール」と呼ばれる。ドーミーホールでは、Aは引き分け以上でマッチの勝利が決まり、Bは2ホール連続でAより良いスコアで上がらなければ敗北となる。この時点でAは「眠っていても勝てる」というような意味から「dormie」(ラテン語の「眠る」=dormirに由来)と名付けられたと言われている。

ストロークプレーにはない
「駆け引き」が楽しめる

マッチプレー特有のルールとしては「コンシード」というものがある。これは、相手が次のストロークでホールアウトしたものと認める意思表示だ。日本では「OK」と伝えるのが一般的で、たとえばBが打った3打目のパットがカップから30cmのところに止まった場合、「OK」を出すと、Bは4打でホールアウトしたとみなされる。

ホールの途中で大叩きしてしまい、そのホールの勝ち目がないと感じた場合は、ホールそのものをコンシードすることもできる。すなわち、そのホールを相手の勝ちと認める行為=ギブアップだ。その時点でボールを拾い上げ、次のホールに向かうことになる。

このコンシードは、マッチプレー特有の駆け引きとして使われることもある。例えば、1m程度のいわゆる「入れごろ外しごろ」のパットにOKを出し続け、あえてショートパットを打たせないまま、勝負所で同じような距離が残ったときにOKを出さない。すると相手は短いパットの感覚が分からない状態で打たされることとなり、思わぬプレッシャーを与えることができる。ストロークプレーでは味わえない神経をすり減らすような戦いを強いられるのが、マッチプレーの醍醐味といえる。

自分の1打1打に集中すれば良いストロークプレーとは違い、常に相手の1打1打を意識しながらのプレーになるところも面白い。相手がティーショットをドライバーで大きく曲げたら、自分はアイアンで手堅くフェアウェイを取りにいく。しかしセカンドをミスしてしまいバンカーへ。すると今度は相手が林の中から渾身のリカバリーショットで花道までボールを運ぶことに成功。続くアプローチをピタリとピンにつけられたら、一気に形勢逆転だ。

1打ごとの選択が、相手にプレッシャーを与えたり、逆にチャンスを与えたりする。いつものプレーとは違う刺激が味わえること請け合いだ。気の合う仲間と2サムでプレーすることになったら、一度マッチプレーでの勝負を提案してみてはいかがだろうか。