【笑顔のレシピ】Vol.134「夏休みの宿題はステップアップのチャンス」
メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!
TEXT/SHOTANOW
7月も後半に差し掛かり、子どもたちは夏休みに入ります。学校に行く時間がなくなるため練習量をたっぷり確保できて、コーチや親御さんとしては実力を伸ばす絶好の機会と捉えているかもしれません。
ただ、僕がチャンスだと思っているのは、ゴルフの練習ではなく学校から大量に出される宿題です。これをいかにして自分のペースで終わらせるのか。その計画を立て実行に移すというのが、選手の自立を促すきっかけになるからです。
まずは去年の振り返り。計画通りできた子は、今年もその通りやってみようかというように成功体験を掘り起こします。
問題は上手くペースをつくれずに追い込み型になってしまった子。去年どれほどしんどかったか、それをしっかり思い出せれば自分で計画を立て直す機会を作れるでしょう。それが上手くいけば失敗を成功に変えられた自信になるし、またできなければ来年再挑戦すればいいのです。
僕は「決められた宿題はちゃんとやらなあかん」とゴールは示しますが、その過程で計画通り進んでいるのかはあまり確認しないようにしています。
毎日子どもと顔を合わせる親御さんであれば、間に合うペースか否かはすぐにわかると思いますが、ペースはできるだけ本人に委ねてほしい。過程の部分に介入してしまうと、本人が自分の責任で招いた結果だという実感が持てず、自立が遠のいてしまいます。
最後に、「なんで勉強なんかするんだ!」という、お決まりのセリフを吐く子が毎年1人はいますが、僕は「叶えたい将来の夢に必要だから」と答えるようにしています。プロゴルファーになるにしても、宇宙飛行士や小説家になるにしても、国語や算数は絶対に必要です。算数ができなければコースマネジメントができないし、国語ができなければ自分の言葉でファンに語り掛けることもできません。
この夏は技術だけに目を向けず、人間として一皮むける1カ月にしてほしいと思います。
青木翔
あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている
週刊ゴルフダイジェスト2022年8月9日号より