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【ゴルフ野性塾】Vol.1740「勝って泣き、負けて泣く。それが大学ゴルフだ」

古閑美保、上田桃子など数多くの名選手を輩出してきた坂田塾・塾長の坂田信弘が、読者の悩みに独自の視点から答える。

前回のお話はこちら

一週間遅れの報告となった

事をお詫び申し上げます。
理由は簡単。
原稿締切りに間に合わなかったのです。
野性塾の締切りは水曜日夕刻から木曜日午後5時迄と決っているが、第59回全国大学ゴルフ対抗戦と第45回全国大学女子対抗戦、最終日のホールアウトは6月23日木曜日の夕刻だった。
雨と強風でスタート時間が遅れた。
今迄ならば表彰式終った後、関西へも九州へも当日帰り出来たが、今年は千歳一泊が必要だった。

結論を申す。
男子は初日終えて6位。
6人登録の5人出場。そして5人中上位4人の2日間合計の戦いなれど、東北福祉は強かった。
コースは6834ヤード、パー70の苫小牧ゴルフリゾートであったが、強風の中、東北福祉の5人は69、71、66、71、69で回って来た。
71がコメだった。
2位は大阪学院大学。
75、70、69、67、72。
チームのスコアは不満なきスコアと思ったが、東北福祉との差は3打。
5番目のスコアは75であり、選手層の厚さが出ていた。
3位は日本大学。
チーム通算パープレーの280だった。
そして私が総監督、長男雅樹が監督を務める大手前大学は6位と健闘したが、首位との差は12ストローク。
71、71、76、75、70とアンダーパー一人もいない一日だった。4人の合計は7オーバーだった。
東北福祉はアンダーパー3人、大阪学院は2人、日本大学にも2人のアンダーがいた。
それでも長男雅樹は10位以内であれば大健闘と言っていたから満足していたと思う。
初日の夜の食事は男女共焼肉との連絡を受けた。

女子は6286ヤードのパー72の戦いだったが、東北福祉が4人合計スコア6アンダーで首位に立った。
2位は日本大学の3アンダー。大手前は1オーバーの3位。
男子は全国地区予選を勝ち抜いて来た18チーム、女子は11チームの出場。
監督雅樹の予測は7位以内が目標と言っていたが、男女共、頑張ってくれた。
東北福祉はアンダー出した者が2人いた。それも66と69のビッグスコアだった。
日大は3人いたが、3人共71だった。大手前は2人のアンダー。70と71だった。

2日目も苫小牧の空は荒れた。
監督の雅樹は前半、男子に付いていたが、9ホール終えた時、1本のメールを打って来た。
「男は終った。これから女子につく」
コロナの影響で大学関係者は2人しか会場入り出来なかった。
雅樹と大手前大学ゴルフ部発足の時からゴルフ顧問をやって来てくれている文学部教授、芦原直哉が雅樹と共にコース入りしていた。

2日目の前半9ホール、東北福祉女子のスコアは35、37、40、38、34の4人合計パープレーだった。
日本大学は38、35、37、36、39の2オーバー。
大手前は36、34、39、36、35の3アンダー。
東北福祉との7打差を4打差とし、日本大学を1打離しての2位になっていた。
だが、後半の東北福祉は強かった。
36、34、39、36、32のチーム4人合計6アンダーで回っていた。
大手前は36、37、37、40、36の2オーバー。
そして日本大学に1打負けの3位に落ちた。
4人合計タイであれば5人目のスコア勝ちで2位だったが、それもタラレバの話だ。
東北福祉は初日も2日目も6アンダーの8ラウンド通算12アンダーで日本大学を14打離しての圧勝だった。
日本大学は初日3アンダー、2日目5オーバーの通算2オーバー。
大手前は初日1オーバー、2日目2オーバーの通算3オーバーで終った。

男子は東北福祉が勝った。
2位は大阪学院大学。
560ストロークと並んだが、5番目のスコアで東北福祉が勝った。

大手前の女子部員は16名。
苫小牧へ行ったのは6名。
部唯一人の4年生、野田博子は初日77を叩いて、2日目は6番目の山中麻緒と交代させられた。
3年の神社佐也加は75、72。2年の貞永葵生は73、71。同じ2年の長田莉子は70、76。山中麻緒は2日目だけの出場で76。1年の湯淺芹は71、71。
大手前が目指すのは66か67のビッグスコアだ。
東北福祉にはビッグスコア出せる者が3人いる。

負けず嫌いが流す涙がプロの扉を開く。


今、高校3年でプロテスト受験し、落ちた者のその後の進路は大学ゴルフ部である。
ゴルフ場研修生と較べると試合の数が圧倒的に多い。
研修生の試合は少ない。
高校卒業後、プロテストを一発で通った者はいいが、落ちて研修生になった者の技量も飛距離もスコアも高校時代より落ちて行くのが現実である。
大学に入った者の技量と飛距離とスコアは落ちない。
練習量、試合の数、総て高校生と研修生になった者より緊張感強き中でのラウンドが出来るからと思う。

緊張は要る。
負けて泣く子は多い。
中学校、高校と泣いて過す日は多い。
だが、研修生になると涙は止る。
諦めと惰性が生じ、負けず嫌いが流す涙が止ってしまう。
大学ゴルフ部員は泣く。
勝って泣き、負けて泣く。
負けず嫌いは大切な本能だ。

プロを目指す者へのアドバイスである。
高校3年でプロテスト受けるのはいい事だ。
しかし、落ちた後の進路は良く考えた方がいい。
大学ゴルフ部への進路を勧める。
負けず嫌いが流す涙は尊い涙である。
そしてその涙が闘争心と努力と挑戦の力を生むのです。
経済的に無理とゆうのなら、高校のゴルフ部監督と相談すればいい。
あるいは大学進学した先輩への相談もあろう。
救ってくれる大学はある。
日本は悪い国ではない。
日本は知恵持つ国である。
プロテスト落ちたら大学に行け。
それがプロテストに通る一番の近道と思う。
ただ、負けて口惜しくて情けなくて涙流れるゴルフが出来なくなったらプロは諦めた方がいい。
プロになった者は己への怒りをいつ迄も持つ。

野田博子は77叩いた後、泣いていたと聞く。
キャプテンとしての責任感と口惜しさが流せし涙だったのだろう。
他の5人も2日目のラウンド終った後、眼を赤くしていたと聞く。
その報を聞いた後、片山津GCで行われる秋の全国対抗戦、楽しみになって来た。
大手前は諦めてはいない。
相手は東北福祉と日大。
男はこの2校に大阪学院大学が入る。
雅樹は今般の対抗戦、よく頑張ってくれたとしか言わなかったが、負けず嫌いな男じゃある。
静かな熱さ持つ44歳。
35名の部員率いて、さあ、これからどうする。
予測し難い天候が続く。
御自愛あれ。
我が身、良好です。

坂田信弘

昭和22年熊本生まれ。京大中退。50年プロ合格

週刊ゴルフダイジェスト2022年7月19日号より