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【名手の名言】ケリー・ミドルコフ「パットのラインは第一印象が正しく、修正するとたいがい失敗する」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は歯科医から転身した異色プロ、ケリー・ミドルコフの言葉を2つご紹介!

メジャー3勝を含む通算40勝を挙げたミドルコフ。パットの名手として鳴らした


パットのラインは第一印象が正しく
修正するとたいがい失敗する

ケリー・ミドルコフ


第一印象や直感というものは往々にして正しい。それはゴルフにおいてもしかり。

パッティングでいえば、グリーンに上がっていくときに感じた第一印象のラインが最も正しいケースが多い、とミドルコフは言っているのだ。

たしかにパット名手には、最初のひらめきを信じてエイヤーと歯切れよく打つ人が多い気がする。

日本で鬼才といわれた戸田藤一郎も「第1感が正しいんや。グリーンへ上がったら、(ラインをみるため)うろうろせずさっと打つやつがパットは上手いんや」というのが口癖だった。

ボールをマークして、ラインを読み、カップの反対側に回ってまたラインを読み、横から、斜めから、ラインの途中から……読めば読むほど、迷いが生じてくる。どっちに曲がるかわからない、ということは、そもそもほとんど曲がらないラインである可能性が高い。真っすぐ打ってたとえ50センチ曲がっても、タッチが合っていればナイスパットである。

ラインに迷うあまり、打つ強さを疎かにしてしまい大ショート……という経験は誰しもあるのではないだろうか。であれば、第一印象を信じて決めた方向にエイヤッと打ってしまったほうが、間違いなく結果はいい。これがミドルコフの言いたいことなのだ。

このことは、グリーンを狙うときのクラブ選択でも同じことが言えて、迷ったら最初の判断に戻ったほうが成功の確率が高いと喝破したのはトム・ワトソンだった。


ラウンドでチェックすることは1つだ。
2つではなく、たった1つだ。
考えすぎて頭を混乱させてはいけない。
かといって頭をカラッポにしてもいけない

ケリー・ミドルコフ


そうなのである。コンペ前夜、明日はああしよう、こうしようと頭はチェック事項でいっぱいになる。しかし、結果はたいてい無残なことになる。

そう、ラウンド中にチェックできるのはたった1つしかない。1つでさえできないことが大半なのだ。

たとえば、スウィングでチェックするポイントを3つ掲げたとしても、始動からフィニッシュまでの時間は2秒程度。そのわずかな時間の中で、2つ以上のことを意識するのは容易なことではない。

その昔、ボビー・クランペットというプロがいた。大学時代大活躍し、鳴り物入りでプロ入りしたが、アマ時代ほど活躍できず、ツアーを去っていった。その理由はスウィング前のチェック事項が多すぎて、そのうち体がスムーズに動かなくなったためである。

彼は体を機械のように動かそうと、20数個ものマニュアルを作り上げ、そのとおりにスウィングしようと試みたのであるが、体はロボットにはなりきれず、そのうち頭がパニック状態になっていった。

ラウンド中に考えるべきことは、できるだけシンプルなことを、それもたった1つ。それが成功の秘訣であることをミドルコフは教えてくれているのだ。

■ケリー・ミドルコフ

1921~98年。米国テネシー州生まれ。歯科医からプロゴルファーに転身して話題を呼んだ。1949年、56年に全米オープン、55年マスターズとメジャー3勝。PGAツアー40勝。86年にゴルフ殿堂入りを果たした