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【ゴルフ野性塾】Vol.1733「スウィングは素振りで修正できる」

古閑美保、上田桃子など数多くの名選手を輩出してきた坂田塾・塾長の坂田信弘が、読者の悩みに独自の視点から答える。

前回のお話はこちら

現在時5月11日、
午前6時44分。

窓の外、乳白色。
視界の総てが同じ色である。
遠くのビルが消えた。
一番近い山は2キロ先だが、その山も消えようとしている。
起きた時から霧雨が降り続いており、街が乳白色の中に消えて行く。
雨は大切だ。
しかし、ドカ雨は迷惑の雨と思う。
週に一度の霧雨でいい。
山もビルも乳白色の中に隠す雨がいい。
外を見た。
ビルの姿が薄くなった。
2キロ先の山の姿がかろうじて見える。
近づく乳白色だ。
女房殿が起きて来た。
何をやらかすつもりか。
まさか洗濯ではあるまい。雨の中、外出予定でもあるのか。
朝の二度寝を一日の一番の幸せと思う女房殿だ。
珍しい事が起きている。
おはよう、とボソッとした声で呟いた。
早いな、と返した。
6時59分。
黒い鳥一羽、右から左へ飛んで行った。
外を眺めながらの執筆だ。
腹、減って来た。
喉も乾く。
執筆中断してお茶飲むのも面倒。
お~い、お茶くれ、と声を出したが返事なし。
居間に来て、いつの間にか居間から出て行った様だ。
いつもならお茶淹れてくれる女房殿だが、二度寝に自分の部屋に戻ったか。
乳白色の空に乳白色の濃さが増して来た。
暗くなって来た。
ビルが消える。
街の音は聞えない。
パトカーと救急車と消防車のサイレン、今朝はナシである。
静か過ぎる霧雨の朝。
今日も変りなく過ぎ行く一日か。
腹、減りました。
それでは来週。

クラブ2本を長く持ち
素振り30回

チーピンに悩んでいます。ラウンド中におかしくなってくると、ドライバーもアイアンもすべて左に巻き出します。それを避けようとすると、右へのすっぽ抜けも出てゴルフになりません。そのため、ホールが進むにつれて、どんどん右を向いてますます引っかけがひどくなっていく感じがします。塾長、チーピンの対処法はありますか。また、根本的に直すにはどんな練習をすればいいでしょうか。(大阪府・内田翔也・45歳・ゴルフ歴12年・平均スコア92)


小手先の修正は勧めぬ。
修正は己の基本でやるべきと思う。
基本も人それぞれだ。
スウィング型を己の基本とするか、スウィングリズムを基本とするか、回転への意識、体重移動への意識、あるいはアドレスか、トップか、フィニッシュの位置と型を己の基本とするかである。
己の合う基本は存在すると思う。

ジュニア塾を開いた時、万人に共通する基本在るのかを考えた。
なかった。
同じ指導をしても、人それぞれのスウィングが生れた。
クラブ1本を持って50回連続の素振り、そして球3球打たせた後、2本のクラブで50回の連続の素振りをさせた。
その後、球3球打たせた。
3本のクラブを持たせて50回の素振りに入った。
腕の力が消えた。
握力よりも先に手首から肘の筋力が消えた。指先の力は残っていた。
先に力落ちたのは腕の力だった。
3本のクラブでの50回の素振りの後、クラブ1本持たせて球を打たせた。
クラブが飛んだ。
インパクト直後、飛んで行った。
腕立て伏せと腹筋、背筋の鍛錬を入れた。
腕立て伏せは効果を見せた。
クラブが飛ばなくなった。
ゴルフに於て必要とされる筋力は手首から肘迄の筋肉である事を知った。
平成5年8月、熊本にジュニア塾を開いたが、最初に目指したのは塾生一人一人の基本を与える事だった。
それは1本から3本のクラブに繋がる素振りで得る事が出来た。
スウィング型で修正するか、スウィングリズムで修正するか、スウィング勘を基本とする回転への意識、体重移動への意識、あるいはスウィングの位置と型を意識すれば、己に合った修正手段を得る事は出来た。
人それぞれが生れた。
そして、塾出身者95名がプロテストに通り、13名がシード権を得ている。塾生以外の個別指導でテストに通った者は15名。
今、塾で残るは神戸塾一つなれど、テストに挑む者は続くと思う。
熊本、札幌、福岡、東海、船橋は閉塾した。誰にも相談せず、私の一存で閉塾した。
ジュニア塾6塾を開き、5塾を閉塾し、今、残るは神戸塾1塾なれど、時、過ぎれば理由も原因も結果も単純化する事を知った。それぞれの塾の閉塾理由は存在したが、今、閉塾の理由は単純化している。
私の疲れだった。
親の負担少なき塾だった。
理想が生きていた。
そして、その理想に私が疲れた。

貴兄は修正手段を見つけていない方だ。
練習前と練習後、クラブ2本の素振りを勧めます。
その素振りから人それぞれの修正手段は見つかる筈だ。
フックを修正したければ2本のクラブを目一杯の長さに持って振ればいい。
素振りの回数は30回。
スライスを修正したければクラブ2本、短く持っての素振りを勧める。
まずは己の修正手段を見つける事が優先順位の1である。
スウィングは体で覚えるを基本と為すが、球の曲りの修正、飛距離を求めての挑戦には修正能力が要ると思う。
ヘッド軌道の修正、スウィングスピードのアップ、それ等を得るにはクラブ2本の素振りが最善と思うのです。
神戸塾生への指導、クラブ3本の素振りをさせて来ました。
この素振りだけは熊本から始まった人それぞれの手段を見つけるが為の素振りなれど、札幌でも福岡でも東海でも船橋でも変らぬ指導だった。
そして今、神戸でも1本から2本、2本から3本、3本から2本、2本から1本への素振りは続く。己を知るが為の3本の素振りであった。
同じ事を続ければ目的も結果も単純化して行くと思う。
そしてその単純が己を作って行く事を塾生は教えてくれた。
貴兄にはクラブ2本の素振りが必要だ。
3本の素振りは要らぬ。
3本の素振り必要とするのは毎日球の打てる人だけである。
以上です。

坂田信弘

昭和22年熊本生まれ。京大中退。50年プロ合格

週刊ゴルフダイジェスト2022年5月31日号より