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【笑顔のレシピ】Vol.120 コーチングはコミュニケーションが8割「必ずしも“上手い”必要はありません」

メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!

TEXT/SHOTANOW

前回のお話はこちら

ジュニア選手の親御さんには、ゴルフ未経験という人がけっこういます。そこでよく聞かれるのが「何も分からないから、どんなアドバイスをしていいか分からない」という話です。経験者でも、自分より子どもの腕前が上になると「してあげられることはもうないのかも」とおっしゃる方もいます。

結論から言うと、選手よりプレーが上手くなくてもできることはたくさんあります。なぜなら僕が選手をコーチングする際、何かを教えるのは全体の2割くらいでしかないから。残る8割は話を聞き、答えを引き出すコミュニケーションに使っています。レッスンの迎えに来た親御さんは、その日どんな練習をして何ができて何ができなかったのかを聞くだけでも、選手の頭の中は整理され練習がより意味あるものにしてあげられます。


僕はサッカーの門外漢ですが、たとえば息子に「リフティングができない」とアドバイスを求められたとします。僕は恐らく、練習で手を抜かず一生懸命に取り組んだのか? できているときとは何が違うのか? できるようになるため何が必要だと思っているのか? などと聞くでしょう。

こういった質問は技術的なことを知らなくてもできるもので、選手が考え答えを導き出すトレーニングになります。大事なのは正解のやり方を教えるより、できるようになるためにどうすればいいのかを考えさせること。これはどんなスポーツや勉強でも、そのレベルにかかわらず大事なことだと思います。

そして親御さんはもし答えが分からなければ、別の機会に調べたりコーチに聞いてみればいいのです。

日本ではなぜか「上手い人しか教えてはダメ」と考えられがちです。でもそんなことを言ったら、タイガー・ウッズは誰にコーチを頼めばいいのでしょうか。名選手は必ずしも名指導者にならないと言われますが、逆に言えば名選手でなくても選手を理解し学び続けることで頼られる指導者になることはできると思っています。

たとえ未経験でも力になれることはたくさんあります(PHOTO/Tadashi Anezaki)

青木翔

あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている

週刊ゴルフダイジェスト2022年4月12日号より

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