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【ゴルフ野性塾】Vol.1723「曲がり幅5%で飛距離アップを目指せ」

古閑美保、上田桃子など数多くの名選手を輩出してきた坂田塾・塾長の坂田信弘が、読者の悩みに独自の視点から答える。

前回のお話はこちら

今日2月24日、木曜日。

福岡けやき通りの15階から一歩も出ぬ日が続く。
今日の雲は千切れ雲だ。
小さな雲が南の光を浴びて気持ち良さそうじゃある。
「そんな事、分るか。雲に聞いてみたのか?」との叱りを受けそうだが、朝から流れぬ雲であり、身動きせぬとなれば気持ちいいのではと思った次第です。
風はない。ベランダの早咲きの河津桜、たまに揺れるが雲の型は崩れない。
「どうして花咲く時期を知るのかが不思議。気温下り続けても蕾付けて来るんだからッ」と、我が女房殿。
私にはもっと分らぬ事がある。
長男雅樹と長女寛子、そして孫2人には会った時も電話の時もいつも明るい声出しているのに私の時はドヨヨーンと低いのです。
何故だ。私は何もしちゃいない。疑うな。もうすぐ春じゃないか。
現在時午前11時57分。
雲の位置が変った。
南へ流れ始めた。
体調良好です。

同じスタンス幅、同じトップ型で球を打て。

ドライバーが190ヤードしか飛びません。あと10ヤード飛ばして200ヤードと思っていますが、なかなかうまくいきません。球筋はドローですが、強振するとスライスも出ます。いまはパーオンを狙えるホールが少ないですが、200ヤード飛ばせるようになると、所属コースのあのホールもあのホールも2つで届くはず、と考えています。塾長、この年齢とこの腕前であと10ヤードの飛距離アップは可能でしょうか。(大阪府・匿名希望・67歳・ゴルフ歴25年・平均スコア100)


可能だ。
人、それぞれのドライバー飛距離であり、人、それぞれの飛距離への挑戦年齢はあると思うが、67歳での10ヤード伸ばしは可能であろう。
1%の可能性あればその1%へ挑む行為を勧める人もいるが、その挑戦がどれ程の長所と現状を破壊するのかを知る人は少ないと思う。
得るには失うものがある。
それを知らずに得るものだけに眼線を向ければ、失って知る大切なものも生じよう。

飛距離と方向性は共存の関係ではない。相反する関係と思った方がいい。飛距離出る程に曲り幅大きくなるのが理屈と思う。
この振り様だと飛距離の10%の曲り生じたならば、200ヤードの飛距離だと20ヤードの曲り生じる。
7%の曲り幅だと14ヤード、5%であれば10ヤードだ。
3%ならば6ヤード。
良きスウィングは良き理想を生むが、3%は理想の曲り幅と思う。
5%は納得出来る曲り幅であり、7%は今少しの工夫を必要とし、10%は曲り過ぎである。
努力と工夫は理想を求める行為なれど、ゴルフは結果の数値を目安とするゲームである。
300ヤードの飛距離の10%は30ヤードの曲りとなり、横へ30ヤードも曲がる球はOBか林の中に飛び込んで行くと思う。
良きスウィングとは曲り幅5%迄の振りだ。
貴兄の飛距離は190ヤード。
曲り幅、飛距離の10%であれば19ヤードの曲り。
7%であれば13.3ヤードの曲り、5%ならば9.5ヤードの曲り生じ、3%だと5.7ヤードの曲りとなる。

現在の貴兄の曲り幅は何%なのかを知りたい。
10ヤード伸ばす挑戦に入った時、曲り幅変らぬのであれば理想は手に入る。10ヤードに挑んで曲り幅変るのであれば考えねばならぬ時だ。
飛距離伸びて曲り幅変らぬのなら挑戦を勧める。だが、それはやってみて分る事であってやる前に分る事ではない。
スウィングを見て、曲り幅変ると予測出来る指導は善き指導であり、曲り幅の変化を指摘出来ぬ指導は受けぬが最善。
飛ぶ様になった、だが曲る様になったじゃ飛距離への自己満足だけを得るだけだ。
指導受ける時は実よりも利を求めたい。
実は190ヤードが200ヤードになった10ヤードの飛距離増であり、利は200ヤードも190ヤード飛んでいた時も曲り幅変らぬ結果である。
190ヤードの5%は9.5ヤード、200ヤードの9.5ヤードは4.75%。
貴兄にはこの0.25%の違いの利を求める覚悟が要る。
曲ってもいい、飛ばしたいと願うのなら実を求めればいい。
だが、貴兄のゴルフ歴25年で平均スコア100とゆうのは利よりも実を求めた結果の様な気がしてならぬのです。
飛距離ではなく、スコアを私は見る。
実よりも利を見る。特に60歳過ぎたゴルフに於ては利を見る。

20歳の1%の可能性への挑戦と70歳の1%の可能性への挑戦には失くすものの数が違う。
20歳であれば失敗しても戻れる。教訓にもなる。
しかし、70歳の失敗は戻れぬし、教訓にもならぬと思う。
貴兄は67歳。
まだ、戻れる年齢だ。
ただ、強欲が要る。飛距離10ヤード伸ばして、曲り幅190ヤードの時と同じとゆう強欲だ。

トップの型を今以上に単純化させるべきである。
トップの単純型は老いに抵抗出来る唯一の型と思う。
バックスウィングからトップ迄の間、力の入れ処を変える、関節を使う、タメを意識して作るなんて動きは複雑さを生む。
スウィングのトップ位置は変れど、スウィングの型はドライバーからサンドウェッジのフルスウィング迄、変りなしが単純なるスウィングである。
特にトップ位置の左手首の角度を同じにしたい。
13本のクラブのトップ位置が同じであれば、体の使い様も13本全部同じとなる。
不調になった時、不調から脱する最善の努力はドライバーとサンドウェッジのトップの型を同じとする事である。
シャフトの長い、そしてシャフトの撓(たわ)みの強いドライバーと13本の中で最もシャフトの短い、そしてシャフトの撓みの弱いサンドウェッジでトップ型の修正を行えばいいのです。
無駄の動きと無駄の型は長きシャフトから生じるものだ。

老いを補うのは型である。
日本舞踊の師範の方の前に座った。年齢83歳の女性だった。足捌きが美しかった。
足捌きが美しければ手の指と肩の動きも美しいものであった。
一歩の歩幅、体調悪ければ変ると思う。しかし、その方は変らぬと言った。
稽古の前、畳6畳を歩く。
体調いい時と悪い時とでは歩数が変る。微妙にだ。
体調悪い時、一歩の歩幅を変えると言った。
広く歩くと言った。
私の経験で申すが、65歳過ぎてからの一歩の歩幅の維持は苦しかった。でも師範は私が訪れた80歳の時も若い頃と同じ歩幅と言った。
集団演舞の基本は歩幅の均一である。集団の歩幅を生むは個の歩幅の確立である。

足が型を生む。
ゴルフは最初に歩き出す時の一歩の歩幅でアドレスするか、早歩きの時の一歩でアドレスするかだが、若い時は早歩きの一歩の幅でドライバー持つべきと思う。そして65歳過ぎれば踏み出しの一歩の幅でアドレスした方がいいと思う。
それは利の距離である。
貴兄はアドレス幅を考えよ。
そして、ドライバーとサンドウェッジのフルスウィングで球を打て。
3球ずつ交互にだ。
同じスタンス幅で打て。
それでトップの型は変る。
単純の型へと移行する。
他は変えるな。
しかし、67歳、平均スコア100でドライバー飛距離190ヤードは異和を覚える。
190ヤード飛んでいるのだろうか。ひょっとして練習場の距離表示が示す190ヤードではないのか。私は実質170ヤードとの思いを持つ。
ならばその距離からの10ヤードは簡単だ。
型を一つにせよ。
それでスウィングスピードは上ります。

坂田信弘

昭和22年熊本生まれ。京大中退。50年プロ合格

週刊ゴルフダイジェスト2022年3月15日号より