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【笑顔のレシピ】Vol.115 「“負けた”子供への声の掛け方」

メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!

TEXT/SHOTANOW

前回のお話はこちら

子どもは勝負事が大好きです。「先に●●できた子が優勝」とか「一番多く××できた子が勝ち」みたいなゲーム形式を取り入れると、単調な練習でも目の色を変えて取り組みます。

僕は、スポーツにおいて「勝つことがすべて」だとは思いません。

ただ、勝つためにはどうすればいいか、勝ったときにどんな気持ちになるのかなど、勝たなければわからないことがあります。そういったことを体感してもらうためにも、勝ち負けがつく練習を大切にしています。

ゲーム形式の練習で気を付けたいのが、負けた子のケア。悔しがって次に気持ちが向かっていけば御の字ですが、ふてくされてしまう子も出てきます。


負けてへこんでいる子に対して「だから勝てなかったんだ」と、突き放し系の発破を掛けがちですが、これは逆効果。大事なのは悔しがっている子どもの気持ちに寄り添い、一緒に悔しがってあげることです。

気持ちを聞いて、まずは共感する。そして、何か手伝えることはないか聞く。負けたというジャッジを下しその烙印を押す大人ではなく、再び立ち上がるためにサポートする存在だと認識してもらうことが大切です。

その場ですぐに気持ちが上向くことは稀ですが、少し経てば再戦を催促してくるか、ケロッと忘れてしまいます。子どもの気分というのは、本当に変わり身が早いですからね。

どんな言葉をかけても子どもが動かない場合、首根っこをつかんで練習をさせたくなる気持ちもわかりますが、これもよくありません。それをすると、悔しい体験をしたときに自分の意思で立ち上がる力がつきません。

すべての負けから何かを学ぶということは、大人であってもなかなか難しいものです。

相手が子どもでも大人でも、コーチはまず負けた悔しさを一緒に受け止めてあげるのがスタート。それが繰り返されれば信頼関係が生まれ、成長するために必要なパートナーとして認識されるようになるでしょう。

負けから学ぶためのサポートをしてあげましょう(PHOTO/Hiroaki Arihara)

青木翔

あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている

週刊ゴルフダイジェスト2022年3月8日号より

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