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【笑顔のレシピ】Vol.103 このままではゴルフ界が崩れていく。子供をプロにしたい気持ちはわかりますが…

メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!

TEXT/SHOTANOW

少しショッキングなテーマですが、今日は“中の人”として提言をします。

僕はいま、ゴルフを取り巻く状況に危機感を覚えています。「世界で戦うためのトップ選手の育成」というテーマはよく議論されますが、それは競技人口のピラミッドでいうところの上部の話。トップを支えているのはその下にある中下層です。

僕がコーチをしているジュニアたちはこの層にいて、ここが崩れるとトップの底上げにもなりませんし、ピラミッド自体が小さくなってしまいます。

僕の生徒に限らず、ジュニアゴルファーにはプロを志望するという子が多くいます。正確には、子どもをプロにしたいという親が非常に多い。プレーする子どもではなく、親のほうがレールを敷いているのです。

親ができるのは、「ゴルフというスポーツの楽しさを教えてあげること」、そして「思い切りプレーできる環境を作ってあげること」まで。我が子をプロゴルファーにしたいという自分のエゴを、子どもに背負わせてはいけません。

我が子に自分のレールを走らせる親は、子どもをコントロールしようと押さえつける傾向にあります。時には暴言、そして暴力もある。

そのように育った子どもたちは、親と同じ言葉を使い、同じように周りに接するようになります。そんな選手がプロになったとき、彼らを見て人は応援をしたくなるでしょうか。子どもたちは憧れを抱くでしょうか。

この連鎖は今すぐに止めないと、取り返しのつかないことになると思っています。

近年では子どもの権利が尊重されるようになったり、スポーツの指導法がアップデートされていますが、残念ながらゴルフはその流れから明らかに取り残されている。

だから僕はピラミッドの底辺から変えていきたいと思っています。そうしないと、先人たちが築いてきた僕たちの大好きなゴルフという山が崩れてしまうでしょう。

親のエゴを子どもたちに背負わせてはいけません(PHOTO/Hiroaki Arihara)

青木翔

あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている

週刊ゴルフダイジェスト2021年11月30日号より

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