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【林家正蔵の曇りのち晴れ】Vol.269「楽しみが消えていく」の巻

ILLUST/アオシマチュウジ

梅雨が始まり、シトシト雨だけではなく、ザァーと来る雨が降ることもあり、楽しみにしていたことが急遽なくなってしまうことも多々あると思います。そんななかで、コロナのダブルパンチ。なかなか楽しみを見つけるのは難しい時季ですが、ようやく私の楽しみなゴルフの予定ができたんです。占いによると予断を許さぬ状況で、なんとか決行できるように祈っております……。

前回のお話はこちら

梅雨とコロナで
先輩方もゴルフ引退!?

7月に入った途端に雨の日が多い。梅雨だからしかたがないのだが、こんなに連日雨、雨、雨と続くのも、このところ記憶にない。

まして梅雨の雨は、シトシト降るものとばかり思っていましたが、夜中からザァーザァーと、けたたましい音を立てて降っている。ゴルフの予定を入れていたのに、雨のせいでつぶれてしまった読者さんも多いことであろう。

単なるゴルフのキャンセルだけならいいのだが、最近ではゲリラ豪雨や大雨によって、様々な地域に氾濫や土石流などの災害をもたらしている。対策するといっても難しいことだが、こまめに雨雲レーダーを確認するなどのひと手間をしていかなくてはならないのだと思う。

地方公演も未だに、キャンセル、延期、縮小が続く。昼公演が多く、北海道や沖縄などの遠出でも日帰りで公演をしてくるのが当たり前。しかもPCR検査を受けてから現地入りし、駅や空港から会場入りし、終演後は速やかに帰路につくというのが最近の流れ。

それでも多くの公演があること自体がありがたいくらいで、多くの同業者にとっては、とても苦しく厳しい状態が続いている。

落語家仲間のコンペもあるのだが、人数も以前に比べて減ってしまっているようだ。高齢の先輩のなかには、コロナを機にゴルフ自体をやめてしまった方も結構多い。

聞けば、コロナの中で片付け物をしている折、ゴルフ用具を近くのリサイクルショップで買ってもらったり、インターネットで出品したりしているのだという。その先輩が愚痴るのは、引き取り価格がべらぼうに安いということだ。

「買ったときは9万6000円もしたアイアンのセットが、まさかの5000円にしかならなかった」と愚痴れば、その隣にいた別の先輩が、「兄さんはまだいいほうだよ。うちのカカアに言われて、ゴルフの会員権をこの不景気だから売りに出したら、500万円で買ったのに13万円にしかならなかったよ」と泣きが入っていた。するとその隣にいた色物さんが、「13万円ならまだいいさぁー。俺の会員権は、そのゴルフ倶楽部が破産して、紙くずになっちまったんだから」と不幸比べの楽屋噺となってしまった。

なんか景気のいい話はないものかなー。

ゴルフの誘いに
下がった気分もうなぎのぼり

気が晴れるといえば、大リーグのロサンゼルス・エンゼルスに所属している大谷翔平選手が現在ホームランランキング1位(7月13日現在)。しかも、ヤンキース相手にベーブ・ルース以来の二刀流を披露するというので、テレビをつけてワクワクしていたら、1回の途中でフォアボールの山にパスボール、おまけにヒットを打たれて1イニングも持たずに引っ込んでしまった。

またなんか気が晴れるいいことはないのかなと思っていたら、ゴルフ仲間からゴルフの誘いがやってきた。ガラケーの私は、ラインができずに未だにメールかショートメールを使ったやり取りしかできていない。

来月の第3火曜日、山梨の某ゴルフ倶楽部にてゴルフをしようじゃないか。スケジュールを確認してみると、どうやら都合がつきそうだ。しかもここのコースは、レストランの食事がとてもうまい。オススメは夏限定の冷やし担々麺。器もきっちり冷たく、中太のストレート麺に絡みつく四川風が最高。たっぷりの牛ひき肉にネギ、そしてお好みにとパクチーとザーサイのみじん切りときゅうり。アーモンド、クルミ、ピーナッツの薬味が自分の好みに合わせて増し増しにできるのだ。

あー、思い出しただけでよだれが止まらない。そしてこのコースのレストランのもうひとつのお楽しみが、自家製のフルーツジュースだ。山梨県はご存じのようにフルーツの王国である。もちろん、果汁100%。混ぜ物はなしでその果汁を堪能できる。

桃、ブドウ、スイカ、どれも頭がバーンと破裂するほどのおいしさ。都内のフルーツパーラーなら1000円くらい、いや、高級店であれば2000円くらい取られそうなジュースがたった500円で味わえるのだ。お腹がタポンタポンになっても、2杯は必ず飲むようにしている。

占いが外れることを願い
一カ月を耐え忍ぶ

早速、メールで是非とも参加、と返事をする。部屋のテレビは朝のワイドショー。番組の終わりは占いコーナー。12月生まれの人は楽しみにしていたことが急変。がっかりの一日に。と伝えている。私は12月生まれ。しかもたった今、楽しみなことができたばかりだが……。

この占いは当たると評判。予断を許さぬこの一カ月。次回どんな楽しい話題をお届けできるのか、ドキドキである。

占いに 心揺さぶられる 一カ月

月刊ゴルフダイジェスト2021年9月号より