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【ゴルフせんとや生まれけむ】青空好児<後編>「芸人なんだから、ゴルフは下手でいいの」

ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、漫才師の青空好児

<前編>はこちら

ボクは昭和18年生まれで、未(ひつじ)年なんです。で、18年生まれには有名人が多くてさ、そのなかのゴルフ好きが集まって「イチハチヒツジ会」というコンペを作って、3カ月に1回フィランソロピーコンペを開いていた。安田春雄プロ、関口宏さん、橋幸夫さん、尾崎紀世彦さん、加藤茶さん、田村正和さん、アントニオ猪木さん、輪島功一さん、ファイティング原田さん、浜美枝さん、加賀まりこさんなど錚々そうそうたるメンバーで、いまも56人で続けていますよ。初代会長は橋幸夫さん、3代目の会長が梓みちよさんだったかな。まあ日本列島が一番輝いていた時代のスターばっかり。そりゃあ華やかでオーラのある皆さんが集まってやるコンペだから、パーッと花が咲いたみたいに賑やかで楽しかったね。

当時はテレビ局のコンペもよくあってね、平塚富士見CCで、フジテレビが芸能人80人を集めてオールスター芸能人ゴルフ大会を開いたことがあったんです。そのときボク、ブービー賞で、賞品にゴルフボール1年分もらっちゃってさ、使いきれなくて仲間に配ったら喜ばれたね(笑)。テレビ局のコンペ以外でも、石坂浩二さん、石原裕次郎さんなどのほか、後援者の人も含めて、いろんな人がコンペを開いて呼んでくれたから、年間50回くらいラウンドして、仕事の休みの日は、だいたいゴルフで埋まっていたね。

ゴルフのときはカミさんの愛想がいいのよ。ボクら芸能人はコンペに呼ばれると、ギャラのほかに帰りに必ずお土産がつくでしょう。それが嬉しいの。ふだんは居間から首だけ伸ばして「行ってらっしゃい」が、ゴルフの朝は玄関までバッグを持って見送りに出て「気をつけてね」だもの(笑)。

平均スコア? スコアにはこだわりがなくて、まあ除夜の鐘くらいだった。そう108、煩悩の数ね(笑)。

相方の球児さんが「ゴルフは上手くなろうと思うなよ。おれら芸人は下手だから呼んでもらえるんだゾ」って言ってね、決して上手くやろうとしなかった。そのかわりプレー後のパーティはしっかり盛り上げたよ。「球児・好児が来るとパーティが盛り上がるよ」って、それを見た人が、また別のコンペに呼んでくれる。皆さんはゴルフに行くとお金を使うばかりだけど、ボクらはゴルフに行くとお金が貯まったんだ。そらカミさんでなくても喜ぶよね(笑)。

ただ、ボクはコンペに呼ばれると1つだけ心がけていることがあって、それは同伴競技者のボールの行方をしっかり見ていること。先輩に教わってね、ボクにできるマナーはそれだと思って、林やラフに入ったボールも、ちゃんと落ち際まで目を離さずに見ている。そして崖下に落ちたボールもキャディさんより先に見つけて、それでキャディさんに好かれたのよ(笑)。

ゴルフをやって良かったのは、何といっても付き合いの輪が広くなったこと。芸人の世界は広いようで狭い。でもゴルフで出会った人たちは「イチハチヒツジ会」に限らず、それぞれの世界で一流を張っている人ばかり。人の輪はもちろん、ボクの人間としての幅も広がったような気がします。

青空 好児

1943年生まれ。東京都三鷹市出身。1965年結成の漫才コンビ「青空球児・好児」のツッコミ。73年に第21回NHK新人漫才コンクール優勝。逆さ漫才(君の名は、むっつり右門捕物帖)、国定忠治などで有名。世田谷区議会議員

週刊ゴルフダイジェスト2021年7月20日号より