森守洋「レッスンは受けるな」Vol.28 強い選手ほどブレない自分軸を持っている
森守洋「レッスンは受けるな」
堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのプロを指導する森守洋が、自身が行きついたゴルフスウィングの本質を語り尽くす。
PHOTO/ARAKISHIN
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- 堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのプロを指導する森守洋が、自身が行きついたゴルフスウィングの本質を語り尽くす。 PHOTO/ARAKISHIN >>前回のお話はこちら File.27スウィング改造 原点回帰することが上達の近道です 男女共に国内ツアーは後半戦に移ろうとしています。ちょっと注目してもらいた……
File.28
言葉の捉え方
強い選手ほど
ブレない自分軸を持っている
桑木志帆選手が全英女子オープンを制しました。これで日本人女子選手として7人目のメジャーチャンピオン誕生ということになります。やはり日本のゴルフのレベルが世界トップクラスというのを証明してくれて、とても素晴らしいことですね。
桑木選手は2024年に年間3勝を挙げる活躍をしましたが、2025年は優勝することができず苦しい時間を過ごしたに違いありません。だからこそ今回の全英女子オープンの優勝は一層価値があるものになったのではないでしょうか。前回、今野大喜選手の話をさせてもらいましたが、今野選手にしても桑木選手にしても、戦っていくなかでより良くしようと思うのが、人間の性というかプロゴルファーとしては当たり前のことです。
より強くなろうとして、良かれと思って取り組むなかで、本質とは外れたことに労力を使ってしまいスウィングを大きく崩してしまうことはあるわけですが、そこには悪魔の言葉とも言えるレッスン用語も多くあります。
例えば「上から打て」は、人によっては悪魔の言葉になります。地面にあるボールを打つゴルフにおいて「上から打つ」は当たり前のことだし、レッスンでは常に使われてきた言葉ですが、僕が知っている選手の中にいわゆるジュニアエリートで学生時代に大きなタイトルをいくつも獲った選手がいました。
鳴り物入りでプロになったわけですが、もっと強くなろうとして新たに指導を受けるようになったそうで、そこで言われたのが「上から打て」ということだったんです。
もちろんその言葉自体は間違っていないし、言語化するうえではまっとうな表現だと言えます。ただ、その選手にとっては全く合わなかったということ。元々トップでクロスするタイプで、低い位置からクラブを引っ張ってくるスウィングだったのが、とにかくボールは上から打つものだと言われたことで押し動作に変化してしまったわけです。その人にとって必要な本質とは真逆のことをやってしまったわけです。
「上から打て」は悪魔の言葉だと言いましたが、もちろん人によってというのが前提になります。そうやって指導されて良くなる選手も多いはずです。ただ、良かれと思い取り組むことには間違いも潜んでいる可能性があるということを理解しなければなりません。
そういう意味で長くコーチングをしてきたなかで感じるのは、強い選手には自分自身の軸があるということです。自分の軸がある選手はコーチングやスタッフのチョイスでミスをしない。海外の選手はコロコロとコーチを代える風潮がありますが、情に左右される日本人にはなかなかできないというふうに言われることがあります。
確かにそれも一理あるかもしれませんし、そのコーチがいい人ならなおさらかえにくいという心理が働くのも事実だと思います。でも強い選手というのは自分の軸をブラさないから、必要なことだけをやり続けることができるわけです。それは簡単なことではありません。
しかし、結果的に強い選手ほど自分を持っているのは事実です。今回の桑木選手もいろんな試行錯誤はあったのかもしれません。でもしっかりと自分を持ち続けてやり抜いたことが、メジャー制覇に繋がったと言えるのではないでしょうか。
2020年に行われたプロテストに合格したときの写真。中央に写っているのが桑木。プロ入り同期には、岩井姉妹や佐久間朱莉といった日本女子プロ界をけん引するそうそうたるメンバーがいる


解説/森守洋
もり・もりひろ。1977年生まれ。静岡県出身。堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのツアープロを指導。原理原則を謳い文句にゴルフスウィングの核心に迫る
週刊ゴルフダイジェスト2026年9月1日号より


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