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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.915「いまだからこそ選手全体の底上げをあえて再考する機会だと感じています」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

>>前回のお話はこちら


今年の全米女子オープンは、最後までドキドキする緊迫した展開でした。史上最多23人の日本人選手が挑戦したことを含め、岡本さんは解説席でどのような点に注目してご覧になったのでしょうか。(匿名希望)


今回の試合会場は、カリフォルニア州ロサンゼルスの西郊にあるリビエラカントリークラブ。

開場からちょうど100年目を迎える名門で、毎年2月に男子ツアーが開催されるコースとしても有名です。

わたしもロサンゼルスを本拠にアメリカでプレーしていた1980年代には、プライベートで年に2〜3回は回っていた馴染みのあるコースです。

ですが難関として知られ、グリーン真ん中にバンカーがあるパー3の6番やワンオン可能な短いパー4の10番などいくつかの名物ホールもさることながら、狭いフェアウェイに加えてラフ全体を覆うキクユ芝とポアナ芝のグリーンはプレーヤーを手こずらせます。

その難コースを相手に選手たちがどう立ち向かっていくのか。


バーディ合戦ではなく辛抱強い耐久戦という地味な展開が想像されました。

特にリビエラのグリーンは小さめでフェアウェイから狙ったとしてもグリーンに止めるのが難しく、だからこそティーショットをいかに正確にフェアウェイに置くことができるかがリビエラ攻略の鍵と言っても言い過ぎではなかったと思います。

今年のシェブロン選手権に続いて自身通算4勝目のメジャーを手にしたネリー・コルダ選手は、最終日コースが繰り出す過酷で容赦ない要求にもほぼ顔色を変えずプレーを続け、栄冠を引き寄せたような感がありました。

解説席で戦況を眺めながら、ときおり挟み込まれるデータ紹介に「やっぱりな」と納得させられたのが、ティーショットを左右のラフに外した選手のパーオン率の低さでした。

今回のリビエラのグリーンは、約500〜700平方メートルのコンパクトなサイズで、ティーショットの落としどころも、フェアウェイの幅が35〜45ヤードとタイトな設定でした。

選手は技術、体力、メンタルの総合力で受けて立つしかないのでした。

わたしは1990年代の後半、日本女子プロ選手権でのコースセッティングを任されるようになった頃から、LPGAツアーやUSGA主催トーナメントで行われている「フェアウェイのライン引き」を参考にしてきたつもりです。

そのためか、当初はあちこちから「岡本のセッティングは厳しすぎる」との声を頂くこともありました。

でもそうした経験を踏まえ国内ツアーのレベルアップが進み、世界最高峰と言える全米オープンのフィールドでも日本選手が堂々と互角に戦えるようになってきたのだと思いました。

もうひとつ、女子ゴルフ全体の歩みや進化にも思いが及びました。

わたしが全米女子オープンやナビスコ ダイナ・ショア(シェブロンの前身)、デュモーリエクラシックなどのメジャー大会でしのぎを削っていた当時、公式戦といえども女子の大会で全米トップ100に選ばれるような、いわゆる名門コースで開催することはありませんでした。

それが2000年代に入り時代が進むにつれ、オークモントCCやニューポートCC、パインハースト№2が開催コースとして選ばれるようになり、2023年のペブルビーチGLに続いて今回もカリフォルニアの名門が舞台になりました。

ちなみに来年はインバネスC、再来年はオークモントCCで3回目の開催が予定されているそうです。

全米女子オープンの出場資格基準となるロレックス世界ランキングの対象が全世界の多様なツアーに拡大するなど、女子ゴルフのグローバル化の波はますます進化しているなか、日本のゴルフ界の振興策、強化策はついて行っているのか──。

ゴルフ界の進歩は、たまたま出現した個人の力だけに任せるわけにはいかない、やるべきことはもっとあるはずでは……。

わたしは日本選手のいまの活躍の”その向こう側”が気になった1週間でもありました。

「現状に満足して歩みを緩めず進んでいくことを忘れずに」(PHOTO by Ayako Okamoto)

週刊ゴルフダイジェスト2026年7月14日号より