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【笑顔のレシピ】Vol.79 「大人には“理屈”、子どもには“ノリ”」

メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!

TEXT/SHOTANOW

僕はこれまでジュニアを中心にコーチングをしてきましたが、いわゆる一般のアマチュアの方へのレッスンも多く経験をしてきました。

基本的には大人の方へのレッスンでも自立をうながすスタンスなので、細かく教えすぎないように心がけています。ただ、大人と子どもでは目指す方向性は同じでも、接し方や掛ける言葉は変えなくてはいけません。

大人になると頭の柔軟性や吸収力がなくなる一方、理解力や知恵がついてきます。その力を使わない手はありません。「やってみましょう」とうながした後にはその理由や理屈をちゃんと説明することが大切。大人の場合、最初の納得度の違いが、その後の成長スピードに大きく関わってきます。


対して子どもは、知識や論理的な考え方が大人にくらべると強くありません。その代わり、ハマったときの没入度合いはスゴイ。楽しいと思ったことに飛びつくスピード、それを継続できる力は大人の比ではありません。だから子どもに対しては「ノリ」が大事になります。

「ノリ」というと軽く感じられますが、最初に「面白い!」と食いついてもらうためには、このテンションが不可欠です。やる理由を長々と説明するより、それがどれだけ楽しいものかを分かってもらうことがはるかに大切なのです

さて、今年から僕のアカデミーのコーチングスタッフに、元々教え子だった細田くんというプロが入りました。“青木流のコーチング”をプレーヤーとして身をもって体験してきた彼ですが、コーチの側に立つとなると、難しいこともあります。

お互い以前から知っている間柄でも、こちらがちゃんと理由や理屈を伝えないと、上手く事が運びません。その辺はゴルフもビジネスも同じなんですね。

5月になりみなさんの職場にも、新人が配属されてくる頃でしょうか。リモートワークなどで意思疎通がしにくい環境ですが「自立のための理由づけ」を意識して接してみてください。

子どもに対しては理屈を並べ立てるよりも、「楽しい!」と感じてもらうことが先決(PHOTO/Hiroaki Arihara)

青木翔
あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている

週刊ゴルフダイジェスト2021年6月1日号より

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