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【たま~に80台で回りたいッ!】Vol.38 ゴルフの習得は「握り3年、寄せ8年、打ち一生」

飛距離が出なくても、練習量が少なくても、たま~に80台で回るゴルフは十分に可能! コラムニストの木村和久がシニアのための89ビジョンを指南。

ILLUST/Shinichi Hoshi

>>前回のお話はこちら

ゴルフの習得は「握り3年、寄せ8年、打ち一生」

なんかどこかで聞いたことがあるようなないような格言です。実は私が考案したもので、鰻職人の格言「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」から拝借したものです。

私の提言している格言は半分シャレですが、実は結構当たっている部分もあります。それを今からとくと説明したいと思います

グリップ3年説

“握り”はゴルフでいうところのグリップです。クラブの握り方を習得するのも、結構時間がかかりました。最初は握り方を覚える「矯正棒」で、見よう見まねの猿まね学習をしました。正しいグリップを覚えたと思ってブンブン振り回すと指先に豆が。実は間違った握り方をしていたんですね。

苦節3年でやっと豆も出ず、握り方を覚えたら、今度は後藤修先生に短く持て、と言われる始末。その場ではハイハイと短く握りますが、コンペでドラコンがあれば、ドライバーを目いっぱい長く持ってしまい、挙げ句どスライス。懲りて後藤先生の言うとおり、クラブを短く持つべきと悟るまで、さらに3年かかりましたかね。


寄せ8年説も正解

自分のアプローチ方法を確立して、実践できたのは鶴舞CCの競技で優勝した頃です。30歳くらいでゴルフを始め、40歳過ぎで「残り何ヤードで、こういうライはどのクラブで、こうやって打つ」と決まりだしてから、アプローチに迷いがなくなりました。

得意技はピンまで30ヤードを、バウンス14度のSWで寄せるというもの。先日は残り10ヤードを、そのSWで打ち、しっかりオーケーの位置につけました。今でもBSの同じSWを使っています。使用歴20年以上で自分の体の一部になっているのかも。自分にとってはそういうクラブが一番良いです。

アプローチはバックスピンをかけるとか、ボールを潰して打つとか上を目指さず、アマチュアなんだから、とにかく寄れば良いという境地に達したときに完成すると思います。つまりカッコ悪いアプローチを認めてナンボです。

焼き一生に打ち一生

鰻の焼きは炭火で焼けば良いだけと思うでしょ。でも当日の気温、湿度、備長炭の状態、鰻の具合まで見て、焼き加減を微妙に調整します。ゴルフのショットも同様に、そのときの風、ライ、同伴プレーヤーとの駆け引きを考慮し、ミスを最小限に抑えるショットができるかが鍵となります。

そう考えると生涯気の休まるショットはありません。絶えず周囲の環境を読み、自分の調子と相談しながら打つしかないのです。しかもシニアになれば、攻め方に変化が起きます。ボールが飛ばなくなったので、刻み戦略をマスターしないといけません。

まあそうは言っても、実際はショットを打つ前に基本のショットを覚えないと。そして自分のショットを調整する場として、練習場の存在は大きいのです。

練習場シングル

ショットはまず練習場でとことん打って、俗に言う練習場シングルになることです。ドライバーでティーショットをしたら10球中全部セーフ。外してもセミラフに1~2球程度にまで仕上げること。100ヤードなら9割ナイスオンでしょうか。その腕でコースに出れば90前後のスコアですよ。

いよいよ実戦ショット

ゴルフは鰻のかば焼きと違い、練習の実力の8割を出せればオーケー、80台で回れます。つまり練習場じゃ70台、本番じゃ80台、気を緩めると90台になるのです。

コツはあまり理想を追い求めないこと。かば焼きなら炭化するギリギリを攻めないというかね。かば焼きとて、焼き過ぎや半焼きなどのムラがあります。ゴルフでショットのムラがないってあり得ませんから。ある程度の飛距離ロスや左右のブレを認めましょう。

安定したリズム

最終的には絶えず自分の心の中で唱えているリズム、それがいかにブレずに打てるかですね。よく「チャー・シュー・メン」とかいうでしょ。打ち急ぎを防ぐおまじないですが、そんなリズムでテークバックしていれば、練習場の7~8割の実力が出せますから。要するに大ミスをしないこと。それさえできれば、恥ずかしくないゴルフになります。

年齢とともにショットの質や打つクラブ、コースマネジメントが変わってきています。年齢が70代になったらどんなゴルフをするんだろうか。今から楽しみです。

教える人/木村和久

「89ビジョン」をはじめ様々なゴルフの楽しみ方を提案するコラムニスト。ベストスコア75。01年鶴舞CCキャプテン杯優勝。ゴルフ歴は35年。現在は扶桑CCのメンバー

週刊ゴルフダイジェスト2025年12月23日号より