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【たま~に80台で回りたいッ!】Vol.26「ゴルフの悪球打ちとはこれいかに?」

飛距離が出なくても、練習量が少なくても、たま~に80台で回るゴルフは十分に可能! コラムニストの木村和久がシニアのための89ビジョンを指南。

ILLUST/Shinichi Hoshi

>>前回のお話はこちら

野球には“悪球打ち”という言葉があります。敬遠のクソボールをヒットにした新庄選手とかね。長島さんやイチロー選手、大谷選手なども明らかにボール球を打って、ヒットやホームランにしています。ですが我が師匠、後藤修先生はその悪球打ちが大嫌い。「百害あって一利なし」と言ってました。

そして、先生はストライクしか振らなかった松井秀喜選手を、バッターの鏡として褒めていました。それは悪球を打つとフォームが乱れ、後々マイナスの影響が出てくるからだそうです。

最近だとMLBオールスターゲームのホームランダービーで大谷選手が出場し、緩い球に対して過剰にホームラン狙いの大振りをして、その後調子を崩しましたね。後藤先生が生きておられたら、あれが悪球打ちの典型的な弊害じゃと言ったでしょう。


というわけでゴルフの悪球打ちの考察をします。ゴルフのボールは止まっているので、野球のような悪球打ちと違います。あくまでボールに対してのスウィングの乱れを指します。もちろん後藤先生はゴルフの悪球打ちも大嫌い。我々アマチュアには、なるべく良いライで打って、スウィングが乱れないようにと注意をしていました。

マン振りは悪球打ちの典型

プロゴルファーはあれだけ飛ばしているけど、実はマン振りをしていません。たとえばドライバーの平均で280ヤード飛ぶプロがいたら、その人が本気で振れば300ヤードはゆうに飛んでいくでしょう。プロはあくまでフェアウェイキープをできる範囲内でフルショットを打ちます。

アマチュアは文字通り力の限りを出してマン振りをしがち。頭の中でマン振り指令を出すと、アドレナリンが出て力が入り過ぎ、変な球が出るというもの。コンペのドラコンを見れば一目瞭然、多くのゴルファーがマン振りし、フェアウェイを外したりミスをしています。フェアウェイキープできる範囲内でパワーショットを打つ、これがアマチュアはなかなか難しい。ドラコンは意識せず、気付かないうちに打つと逆に飛距離が出ますよ。

コースレイアウトの妙

井上誠一をはじめとする名設計家は、プレーヤーに多彩なショットを要求するように設計しています。ドッグレッグや樹木、池などのハザードでドローやフェードを打つようなレイアウトにし、スウィングを翻弄するのです。

ティーイングエリア内でも、ティーマークをどこに置くかで、ショットに制限がかかります。極端な右にティーマークがあって、フェード縛りをしているホールがありますよね。結果フェードがかからず左の林にぶち込むことも。なので刻むのもありです。

リカバリーショット

崖の下にボールがある。すごくフックをかけたらグリーンに乗るんだけど、イチかバチか打ってみよう。バシーン、すごいヒール球が出てOBって、なんだんねん。

こういうリカバリーショットは、悪球打ちが発生しやすいです。ほかにもスタイミーな木に対し、フェードをかけたら単なるスライスになり、あさっての方向に飛んで行ったとかね。リカバリーショットをする以前に、すでにトラブルになっているので0.5ペナルティぐらいは払っている。そういう認識で謙虚にプレーをしましょう。

たとえば樹木の上を越えるショットをした場合、失敗しても樹木の下に落ちる可能性が高いから、大叩きはしない。けれど林の中で狭い空間を狙うショットは、失敗したら大叩きの可能性が高い。

リカバリーショットをするときは、そういう大叩きのリスクを計算して、対処してください。

還暦戻りシャンク

50ヤード以内のアプローチの練習は、たいがい平らなところで打ちますよね。難しくしても薄い芝で打つぐらいでしょ。

これがマウンドの傾斜がきつくて、ラフがモジャモジャなところから打つと、ありえないショット、すなわちシャンクが出て、頭の中が真っ白になることがあります。

これはきつい傾斜と長いラフで、フェースの向きが変わってしまったのです。これは若い頃の初級者シャンクとはまた別の、ベテランがやりがちな“還暦戻りシャンク”と言います。

ミスのリカバリーは難しいです。悪球を打たざるを得ない段階でペナルティもの。ゴルフは人生と一緒、そんなに甘くないですよ~。

教える人/木村和久

「89ビジョン」をはじめ様々なゴルフの楽しみ方を提案するコラムニスト。ベストスコア75。01年鶴舞CCキャプテン杯優勝。ゴルフ歴は35年。現在は扶桑CCのメンバー

週刊ゴルフダイジェスト2025年9月30日号より