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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.232「センスはコースで磨かれる」

KEYWORD 奥田靖己

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

>>前回のお話はこちら

  • 高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。 >>前回のお話はこちら 歳を取ってケガなどで1カ月くらい球を打たないとね、飛ばなくなるんですわ。おじいさんになって体が大きくなった人ってあまりおらんですよね。逆に歳を取ると体全体の筋肉がどんどん縮小して小さくなるわけで……

ゴルフで必要なのは、技術とかパワーもですけど、やっぱりセンスです。音楽も一緒で、譜面通りにきっちり弾く技術があっても、その曲のイメージとか雰囲気とかに合った演奏ができなければ、そらもう全然ボツです。

逆にちょっとくらい技術的に劣っておっても、その曲に応じていい感じを出せれば、聴いているほうは心地よいやないですか。それがセンスです。だって、優れた音楽家で譜面を読めない人っていっぱいいますよ。まあ、そのセンスが技術なのかもしれんけどね。

じゃあセンスは練習で培われるもんかいうたら、練習場で何万発打ったかて一緒です。そういうセンスというもんはゴルフ場で培うもんで、バーチャルゴルフでいくらやってもダメ。やっぱりセンスはコースで出していかないとあかんでしょうね。


取り決めとかマニュアルに忠実にやらないときにセンスが出るわけです。音楽の演奏で、いくらセンスがある人でも、楽譜を出されてこの通りに弾いてくれと言われるとセンスは出ない。

ゴルフの場合でも、ゴルフ場がどうか、天気がどうか、地面の軟らかさとか、そういうもん全部が入ってくるわけですよね。そっちに目がいかないとセンスは出ないです。普段、バーチャルでやってる機械的な動きをゴルフ場でやってもセンスは磨かれないです。

マニュアル的なことばっかりやっておると、ゴルフ場に咲いてる花を見てラウンドする余裕はないでしょう。だからスウィングの形ばかり気にしていると、自然のなかでやっている風景に溶け込むことができないんですよ。

逆に、花が咲いてるなあと思える人は視野が広いわけで、そんななかでセンスは磨かれるわけやないですか。センスを頭で考えるわけやないからね。

だから、ゴルフのセンスを磨いていこうと思うなら、コースと戦うんやなしに、調和するということをやっていかないとダメでしょうね。センスを磨くためにはマニュアルを捨てなさいいう話ですわ。マニュアルがセンスを伸ばす足かせになるんです。それは間違いないです。だから、もっと自由にやったらええんです。

「マニュアルを無視すると、センスを伸ばすことができます」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2025年7月8日号より