【たま~に80台で回りたいッ!】Vol.14「スランプは一日にして成らず」その仕組みを検証!

飛距離が出なくても、練習量が少なくても、たま~に80台で回るゴルフは十分に可能! コラムニストの木村和久がシニアのための89ビジョンを指南。
ILLUST/Shinichi Hoshi

>>前回のお話はこちら
- 飛距離が出なくても、練習量が少なくても、たま~に80台で回るゴルフは十分に可能! コラムニストの木村和久がシニアのための89ビジョンを指南。 ILLUST/Shinichi Hoshi >>前回のお話はこちら 皆さん、お小遣いを貯めて高価なクラブを買い、日夜スコアアップに励んでいることでしょう。そのクラブが、ち……
今回のタイトルは誤字とちゃいまっか? 「スランプは一日にして直らず」が正しいと思う方もいるでしょう。確かにスランプはすぐには直りにくいですがね。
指摘したいことはこうです。スランプは、ある日突然起きますが、実はその裏に、長年の悪い癖の蓄積があるということです。今回はそんなお話をします。
ある日、何気にクラブを振ったらシャンクが出たり、あるいはヒール球、トップなど悪球が出ることがあります。長くゴルフ人生をやっていると、そういう現場に遭遇することもあるのです。結果、今日は二日酔いだ、風が強い、雨だったと自分で適当な理由をつけて、ミスの弁解をしますけどね。
けれど次にまたゴルフをやったら、同じようなミスショットばかり。これはいよいよスランプ突入って思いますよね。さあどうしよう、ひとまず練習場に行くか。
でもスランプが起きると、練習場でもうまくいかないことが多く「根治療法」は無理で「対症療法」でごまかすしかないのです。
つまりシャンクの根本原因を自分で直すのは難しく、とりあえずシャンクが出ない方向に持って行きます。例えばアイアンをUTに変えたり、ボールを上げずに転がすとかね。
ではスランプの原因をどう直すか? 一番良いのは客観的に見てくれる優秀なレッスンプロや、上手なシングルさんに出会うことです。
私もお金を払って、飛び込みでレッスンを受けたこともありますし、取材でレッスンプロからアドバイスを受けたこともあります。取材だからって、必ず正解を得られるとは限りません。
先生の当たり外れはあります。だから何回か試し、相性の良い先生を探すしかないです。過去の経験だと、教え上手な先生はぐだぐだ言わず、手短にワンフレーズしか言いません。
私の場合は「クローズドスタンスですよ」とね。某企画で女子プロとラウンドした時に指摘され、半信半疑で指示された方向を向いて打ってみました。最初は野球でいうところの、3塁側を向けみたいなことを言われて、そっちなの~? とあんぐり。でも教わっている立場上、言うことを聞かないといけない。だまされたつもりで打つや、いい球が出るじゃないの。いや~、びっくりした。知らず知らずのうちに、右を向いていたんですね。
そこから自分で、オープンスタンスを心がけて練習に励みました。
結果、ヒール球やシャンクは激減、今やハーフ39を出せるまで実力が戻ったのです。やった~、パチパチ。ややオープンがいいんだぞと、みんなに自慢していたら、ある上級者の友達が「オープンスタンスと言ってるわりに、実際はクローズドスタンスですよ」と指摘するわけ。ガ~ン。
自分なりのズレの修正方法を持っておきたい
つまりスタンスやスウィングは、毎日少しずつミリ単位で自分の楽な方向にズレるんですね。そもそも構えた時に、斜めからコースを見るので、スクエアに構えているつもりでも、実はクローズになっていることが多いです。
このズレはプロゴルファーも同じで、皆さん仲間内でスウィングチェックをしています。特にトップ位置の確認は、自分自身で確かめる方法を考案しています。
例えばジャンボ尾崎だったらくわえタバコ。実はタバコを物差しにして、腕の上がり具合を見ていたとか。中嶋常幸はメガネのフレームの見切りで、トップ位置を確認していたとか。昔、雑誌記事で読んだのですが、これらはとりあえず都市伝説にしておきますか。だからアマチュアもゴルフ場の空き時間に構えて友達に「どっち向いてる?」と聞けば良いんです。
そして猿真似でスウィングを覚えたら、今度は自分で理論をどう消化するかです。言われたからやるのではなく、自分で納得しないといけません。
私の納得方法は左足を一歩前に出して、クローズドスタンスを作り、素振りをします。すると左足が前に出る分、軌道が邪魔されてクラブが振りにくい、と。逆に左足を半歩後ろにすると振り抜ける。結局、クローズドスタンスは振り抜きづらいと理解しました。
とはいえ、ある時、良かれと思って他のゴルファーに「クローズになってます」と言うや「わざとです」と言われましたから。もちろん、人それぞれです。あまり他人に干渉しないようにしないと。
今は日々の微妙なズレに注意し、オープンスタンスの確認&修正に励んでいます。スウィングは生もの、取り扱い注意ですぞ。

教える人/木村和久
「89ビジョン」をはじめ様々なゴルフの楽しみ方を提案するコラムニスト。ベストスコア75。01年鶴舞CCキャプテン杯優勝。ゴルフ歴は35年。現在は扶桑CCのメンバー
週刊ゴルフダイジェスト2025年7月1日号より