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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.231「脳からの指令を早く出す」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

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  • 高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。 >>前回のお話はこちら 今週は全米オープン、会場は屈指の難コース、オークモントCCです。2007年に全米オープンが開催されたときはタイガーが、「ハンディ10のプレーヤーがプレーしても100は切れない」と試合前にコメント……

歳を取ってケガなどで1カ月くらい球を打たないとね、飛ばなくなるんですわ。

おじいさんになって体が大きくなった人ってあまりおらんですよね。逆に歳を取ると体全体の筋肉がどんどん縮小して小さくなるわけですよ。歳を取って怪我や病気したりして体を動かさんでいると、目に見えて筋肉が減って体が小さくなっていきます。あのアントニオ猪木さんでも、亡くなるちょっと前はあんなに小さくなってましたからね。

筋力が落ちると、7番アイアンで160ヤード飛んどったのに、130ヤードしか飛ばんようになったとか、それくらい極端に飛距離も落ちます。でも脳みそはもともと「7番で160ヤード飛ぶ」いう感覚を記憶しているので、そこのギャップが生じるわけです。それで回っていると、おかしいな、おかしいなとなる。しばらくしたら戻るんかいうたら、この距離と感覚のギャップは、筋肉が衰えているわけやから、なかなか戻らないです。


でも僕は今回、3月にギックリ背中で1カ月球を打たずに伏せっていた後に、2カ月くらいで距離は前の状態にまでは戻りました。もちろん技術的なこともあるんやけど、クラブは筋力で操作するわけですから、この筋力が落ちているから飛ばなくなったということを脳みそに指令せんといけないんです。

そもそも、脳からの指令が遅くなるから、信号が赤から青に変わったとき、ワンテンポ遅れて進みよるでしょ。だから、歳を取ったら何するにしても行動が遅くなるいうことを自覚しながら、できるだけ脳からの指令を早く出せるようにせなあかんわけです。

では具体的にはどうするかいうことですが、僕が効果があると思うんは、動きをシンプルにすることです。球を打つときにアドレスに入ってから、いつまでもグリップを握り直したり、何回もクラブの軌道を確認したり素振りしたりして時間をかけておったら、脳も「これくらいゆったり動けばいいんやな」と筋肉に指令を出すやないですか。そのムダな動きを省いて、この次はこう動く、次はこう動くとやれば、脳からの指令も「てきぱきと動け」となると思うんです。

「まずは自覚すること。そして、シンプルな動きにする、これだけです」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2025年7月1日号より