【たま~に80台で回りたいッ!】Vol.6「磨くべきはアプローチ」

飛距離が出なくても、練習量が少なくても、たま~に80台で回るゴルフは十分に可能! コラムニストの木村和久がシニアのための89ビジョンを指南。
ILLUST/Shinichi Hoshi

>>前回のお話はこちら
- 飛距離が出なくても、練習量が少なくても、たま~に80台で回るゴルフは十分に可能! コラムニストの木村和久がシニアのための89ビジョンを指南。 ILLUST/Shinichi Hoshi >>前回のお話はこちら 飛距離の落ちたシニアゴルファーの目の前に、黒船のように現れたのが『飛び系アイアン』です。2010年代後半からでしょうか……
ゴルフは最終的に、アプローチが鍵になると言われています。関東にはショートコースがたくさんあります。以前ラウンドする企画があり、かなり回りました。
どのコースに行ってもシニア世代が、短いコースを楽しそうにラウンドしていました。なんでみんなショートコースに来るのか、それは実戦のアプローチショットをしたいからなんですね。
私を含め、シニア世代になると長いクラブをさほど練習しなくなります。若い頃に散々やったのもあるのですが、ある程度、下手の固め打ちによって、自分流のショットが確立されます。それを今さら、持ち球のフェードをドローにとか、飛距離を伸ばそうなんてことは無駄なあがき、やりませんよね。そして長いクラブをがんがん振ると、かえって疲れて変なショットが出ます。だからシニアゴルファーは、ドライバーを少し打って切り上げている人が多いのです。あとドライバーショットって許容範囲が広く、フェアウェイならどこに打ってもナイスショットになります。セミラフや浅いラフに飛んでもオーケーでしょ。つまり打ったボールが多少乱れても、合格点を貰えるのです。同様にセカンドショットも、グリーンを狙える位置にボールを置ければ目標達成となります。つまり長いクラブのショットは多少乱れても、ゲームにさほど支障をきたさないのです。
一方、アプローチはグリーンに乗せることがマストになります。これは責任重大です。だからアプローチの練習に時間を費やすべきなのです。
昔シニアのトップアマのOさんという方と、よくラウンドしたのですが、ドライバーショットは距離も方向性もどっこいなのに、上がるといつも10打ぐらい差がつきました。
この違いは何か? やはりアプローチの違いです。Oさんは長いクラブを振ってよろけても、アプローチだけはミスをしません。ゆえに練習はほとんどがアプローチ、あれだけやって飽きないの、ってくらいやります。そしてアプローチの上達方法は、練習を重ねるしかないと語っています。今なら春先の湿ったラフ、薄い芝、生えかけの芝など、いろいろなパターンがあるでしょう。それを試行錯誤して打つということです。
昔、後藤修先生の自宅が世田谷の赤堤にあって、その裏庭に小さなアプローチ場と簡易バンカーが設置してありました。
そこに通されて打ってみろ、と。
「ジャンボもここで練習したぞ」と言うのです。芝ははげ、ほとんどベアグラウンドだし、バンカーの砂も無く、土になっていました。
それを不思議そうに眺めていると、良い芝で打っても練習にならないぞ、こういうライで打つから上達するんだ、とね。
アプローチ練習の神髄が見えてきた!
実際やってみて、あまり打てなかったけど、アプローチの練習とはそういうものなのだなと、その時悟りました。それから後藤先生の教え通り、ベアグラウンドや窪地、はげ芝などから打って、どんなボールの出方をするのか確認しました。もちろんクリーンに打てることは珍しく、ボテボテのゴロだったりダフったり。ただトップだけはしないように注意していました。その後、競技ゴルフをやってディボット跡から打ったりすることもありましたが、通常よりも2割ぐらい飛距離が落ちるとか、そういうことを経験で覚えました。
そして現在、アプローチで次なる作戦を展開しています。それは新しいお助けクラブの導入です。今なら飛び系のウェッジですか。
それを購入して練習場で早速打ってみました。感触はすこぶるよし。距離感もばっちし。でも、コースで打つや、ダフリばっかりなことが良くあるんですよ。
この前はYというメーカーのAWとASを購入し、それぞれコースで打ってみました。そしたらAWは大バズリで、90ヤードをナイスオン、オーケーバーディなんてことが起きました。ところがASは、3回打って3回ともダフリばっかり。ガビーン何が違うの?
一方PというメーカーのAWとASも持っており、それはAWがトップばっかりでダメで、ASが良い仕事をするんです。結局Y社のAWとP社のASを使えば問題ないのですが、何か自分では納得いかないわけ。
結論を言うと、アプローチのクラブ選びは全て個別の問題です。試行錯誤して、自分に合うクラブを選ぶしかないです。練習量の少ないシニアは、相性の良いギア探しが手っ取り早いです。意外なクラブがぴったりはまりますよ。

教える人/木村和久
「89ビジョン」をはじめ様々なゴルフの楽しみ方を提案するコラムニスト。ベストスコア75。01年鶴舞CCキャプテン杯優勝。ゴルフ歴は35年。現在は扶桑CCのメンバー
週刊ゴルフダイジェスト2025年4月29日号より