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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.856「コーチには意見や目標を明確に伝えないと友好な関係は築けませんよ」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

>>前回のお話はこちら


練習場でコーチのレッスンに通い始めてもうすぐ2年になります。特に不満があるわけではありませんが、いまのコーチを卒業するキッカケがなくて迷っています。いつ、どういう状態になったらやめればいいのでしょうか?(匿名希望)


ショットが安定してきたからもう大丈夫。これまでお世話になりました、とレッスン通いをやめるのは気が引ける気持ちは、なんとなくお察しします。

コーチからすれば、まだまだ頼りないものに見えているのかもしれませんし、ここまで上達してこられたのは、コーチの教えによるところが大きいと認めているにせよいないにせよ、いま卒業できるレベルに達しているのかどうかを客観的に判断するのは難しいかもしれませんね。

自分からレッスン終了をコーチに告げるのは、失礼に当たるのではないかと、悩ましい気持ちなのでしょうね。

ツアーで戦っている選手たちも、プロを教えるプロコーチとの契約を交わしているケースが多く、その師弟関係をはじめ契約の更新や解消など問題になることもなくはないです。

細かい条項を盛り込んだ正式な契約書を交わしていても、もめごとに発展してしまうのがこの世の常といいますか……。

いつでしたか、契約コーチとの関係がうまくいかない悩みを抱えていた若い選手から相談されたこともあります。


契約解消を先方に申し渡すにしても、礼儀として少なくとも1カ月前にはその旨を伝えるのが常識だと思います。

ところが、いまは少なくなりましたが、専属コーチを依頼する際に口約束による契約もあるので、内容があいまいで契約期間や細かい条件設定などあってないようなこともしばしば。

いきなり関係の解消を通告されたコーチとしては、相手に対して感情的になる場合もあるので、穏便に解決するのが難しいケースもないとは言えないんです。

そうならないためにも、専属コーチを頼む場合には指導内容や方法と目的、レッスンの回数や期間、実施場所などできるだけ具体的な条件を想定して文書にしておくほうが無難。

プロが契約する場合は当然、こうした心得が必要です。

でも、一般の方がコーチについてレッスンを受けるときに、そこまで考えている人はいませんよね。

コーチやインストラクターの先生と個人契約を結ぶケースもあるでしょうが、練習場やゴルフ教室といった施設などに入会してそこに所属するコーチが指導するケースが多いのではないでしょうか。

練習場との契約やレッスンなら自分なりの理由で自由に退会できるでしょうが、親身になってくれたコーチ役の先生の手前、非礼は避けたいものですよね。

ですが、教わる側が必要以上に気を使うことはありません。

プロとしてゴルフの技術を教えているレッスンコーチは、そういうことが起こるということも承知しているはずです。

レッスンに通い始めるときに、どのレベルになるまで続けるという達成条件を設けておくのも一つの方法でしょう。

最初はコーチに言われるまま、ただ従うだけですが、そのうちにだんだんと要領をつかんできます。

ボールを打つ感覚、筋肉や関節を使う感覚が体の中から湧いてきて、スウィングするのが楽しくなってくる。

そうなったとき「プレーヤーとしての自立」を得た──その立場でコーチに何を求めるか、改めて考えればいいと思います。

コーチの役割は常に同じではなく、プレーヤーのレベルと求めるレッスンの内容によって変わるものです。

ですから、レッスンに区切りをつけたとしても先生は別に感情を害したり、怒ったりはしませんよ。

ただ、付け加えておきたいことがあります。

コーチの言っていることが理解できないという理由でレッスンをやめたくなったとしても、指導法が合わないので終わりにしたいとは言わないで、なんとかほかの言葉を選ぶようにしてください。

合う合わないは、個人的見解の相違であって客観的な判断ではないですから、相手にも言い分はあるはずです。一方的に決めつけて人間関係を険悪にすることはないとは思いますよ。

「誰に教わろうと、自分で考え自分で練習しない限り、上達は望めません」(PHOTO by Ayako Okamoto)

週刊ゴルフダイジェスト2025年4月22日号より