【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.222「曲がらないドライバーは困ります」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Takanori Miki
>>前回のお話はこちら
- 高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。 PHOTO/Yasuo Masuda >>前回のお話はこちら 最近、ドライバーのシャフトをちょっと軟らかくしました。ずっとシャフトの重さは60グラムやったんが、昨年は50グラム台でSにして、今年はRにしました。標……
最近のドライバーの進化というんはすごいものがありますね。460㏄の大型ヘッドで、10Kとかいうて、慣性モーメントが最大級に大きく、ミスに強くて曲がらないという触れ込みです。まあ、人によってはなんとありがたいドライバーやと思うでしょうけど、僕なんかは苦手ですね。
ドライバーショットはコースに応じて球を曲げて攻めていきたいのに、曲がらんのやから困ります。僕なんかが欲しいんは、ドローも打てる、フェードも打てる、それもフェードを打ったときに極端に距離が落ちない。あとは低い球も打てて、直ドラもイケる、そういうオールマイティのドライバーです。でもそんなドライバーは今はない。
アマチュアの使うクラブは、だいたいが左向いてつかまるような形になっているものが多いですけど、プロは逆に左に来ないような顔をしているドライバーを好むことが多いです。飛ばし屋なんかから、左に行かないようにしてくれと注文をつけられて作ったんがプロトタイプの始まりです。僕は球は左に来てほしいんで、そういうヘッドもダメです。
10Kのドライバーを実際、買ったんですけど、2~3ホール打ったらもういい、となりました。果たしてこれを使って、何かメリットあんのかいなと思ってね。僕なんか元々曲がらんのに、それでこれはミスしないし曲がらないと言われたら、そら打ったら入んのかいなと思いますよ(笑)。それにミスショットをカバーしてくれるドライバーで、フェード打ってもフェードにならんというんも困ります。そのドライバーに慣らそうと思って打ち方を変えてしまうと、ドライバーは真っすぐ行くけどほかのクラブは全部左に行くとかなってきたらどうしようもない。
カチャカチャも使いますけど、基本フェース面はストレートから動かすことはあまりないです。たまに、ちょっと左向いていると感じたら一つ右に向けるとかね、それで十分です。
いろんな機能が付いとってもハンディ10以上の人には関係ない。棒に頭付いとったら一緒です。ホンマですよ。昔から頭が付いてる棒切れを振り回しているだけの話ですから。

「機能を理解して使いこなすんが大事。自分に合うもんをきちんと見つけてくださいね」

奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2025年4月22日号より