【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.215「今年は“ヘッドを感じる”の一点勝負でいきます」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Tadashi Anezaki
>>前回のお話はこちら
- 高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。 PHOTO/Tadashi Anezaki >>前回のお話はこちら この前、曲打ちのイベントに岩手県から来られた女性の方からお聞きした話です。その人は、ボランティアで女子ツアーに行ったときに、選手のティーショット……
今年はヤーデージも測らない、ヘッドを感じる一点勝負の年にするとの目標を掲げてやっております。
なんでかいうと、自分の感覚で勝負できるからですわ。ゴルフをデータ勝負やなしに、感覚でやりたいんです。それでどこまでできるかというんを、ちょっともう一度やってみたいなって思うてます。
そうかといって、何も考えずにポン、ポン打つわけやありませんよ。アドレスに入る前には、ちゃんと狙いを決めておきます。でもこのときに大事なんは、前も話したとおり、「あそこに行ってくれ」いう気持ちをもったらあかんいうことです。
これは海老原さんに言われたことですが、何とかあそこに行ってくれとお願いしながら打つ球は、往々にしてそこには行かんもんやということです。要するに振り切れていないということですわ。
そういった「あそこに打つ」という考えを、構えに入ったらなくせば何もなくなる。ヘッドだけ。ボールに構えたら自分のなかにあるんはヘッドだけですわ。ヘッドを感じること以外には何もない。当たりも、方向も、何も気にしない。それが一点勝負いうことです。
ただね、やっぱ気になってしまうんですよ。気持ちがクラブヘッドからボールにいったり、目標に行ったりするんです。どこに打ついうことは、打つ前の段階で全部決めて構えたんやから、もう気にすることはなにもないはずなのに、なんで気持ちが揺らぐのか。
たとえば、最後にチラッとコースを見るでしょ。それだけで委縮するんです。曲がったらどうしようとか、心配するんですね。
プロでもそうです。いろんなことが頭によぎる。一瞬でもよぎったらもう終わりです。頭のなかにそういった自分を委縮をさせるようなもんがよぎったら、もうヘッドだけを感じることができなくなって、体が硬くなる。
「あそこに打つ」と腹決めたんやから、なんで見て委縮すんねんと思うけど、でもそれは人間の本性みたいなもんで、これはなかなか治らんです。その本性がいかに出ないように、頭をヘッドのこと一つにして感じていくかということが大事で、それはもう技術的なハウツーよりももっと大事なもんやと思います。

「最後のチラッ、も自分を委縮させる要因にはなりますわな」

奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2024年2月25日・3月4日合併号より