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【ゴルフ野性塾】Vol.1824「その時に集中すれば周りの影響は受け難い」

KEYWORD 坂田信弘

古閑美保、上田桃子など数多くの名選手を輩出してきた坂田塾・塾長の坂田信弘が、読者の悩みに独自の視点から答える。

前回のお話はこちら

人様のゴルフや
存在の影響を

受けた記憶はない。
研修生時代、一人でラウンドする事は多かった。
研修生全員、コースでの仕事を持っていたので先輩研修生や同僚の暇の時間、待ってたんじゃラウンド出来ません。
だから一人でのラウンドばかりだった。
球が曲れば打ち直しした。
3メートルが入らなければ入る迄、打ち続けた。
その時、私は自分のゴルフがどの程度のレベルなのか、考えなかった。
ティーショットの時はティーショットだけ、アプローチの時はアプローチだけを考えていた。
その時に集中すれば周りの影響、受け難いものだ。

先輩研修生のスウィングの真似はした。
アプローチの打ち方も真似た。
しかし、影響受けた事はない。
プロになり、ツアー参戦した時も同伴競技者のスウィング影響、行動影響、発言影響受けた事はなかった。
試合の時、ここでどう打つのか、と思って一緒に回っている方のゴルフを眺め続けた事はあるが、自分のプレーリズムを変える事はなかった。

私の弱点は5メートル以内のパットであり、1メートルを入れる確率は3割切っていたと思う。
手が動かず、クラブヘッドも動かなかった。
30センチをショートさせた事もある。
情けなかった。
切なかった。悲しかった。腹も立った。
そしてプロになると一段階、高い領域が待つ。
それは簡単という山である。
1メートルを簡単に入れて来る者がツアーに生き残れるものなれど、羨ましいとは思わなかった。
己への腹立ちだけだった。

ゴルフは簡単を持つ者が強くなって行く。
1メートルを簡単に入れ、280ヤードキャリーをして、アプローチを簡単に寄せて来る簡単なゴルフ。
簡単は14本のクラブにそれぞれ宿るものなれど、1つの簡単持てばハンディゼロにはなる。
2つ持てばツアー参戦出来よう。
3つ持てばシード取れる。4つ持てば優勝出来る。
私の簡単は1つだけだった。
何も考えず、何も想わずとも打てばピンに寄るバンカーショットのみ。
簡単は遠かった。
私は1メートルの簡単を得る事が出来なかった者であります。

「50歳の時、一番大切にされていたものは何でしょうか?」

野性塾大濠公園18人衆の問いへのはっきりとした答えはまだ見つからぬ。
今日4月17日、水曜日。
私の住む福岡市中央区赤坂けやき通りの桜が若葉を揺らす季節になった。

人様から受けた影響を越えて行け。

他人のプレーに影響を受けやすいのか、自分より上手い人や飛ばす人と回ると、いつもショットがメロメロになってしまいます。また、初心者と回ってもミスばかりになります。いいスコアが出るのは、同じようなレベルの人と回ったときだけです。こういうクセはどうしたら直るでしょうか。(東京都・匿名希望・39歳・ゴルフ歴8年・平均スコア100)


直せない、と思う。
越えて行くしかない、と思う。
直せるものならば直した方がいい、正せるものならば正した方がいい。
歩む足を止め、丁寧に誠実に優しさと寛大さ、抱いてだ。
なれど、直せぬもの、正せぬものであれば越えて行くしかないのが人の世への順応であろう。

ゴルフ然り。直せるもの、正せるものは直し、正して行けばいい。
出来ぬと思った時、越えて行かねばならぬ。
直し正すには忍耐と優しさと寛大さの三つあればいい。
一対一で向き合えばいい。
だが、越えるには忍耐も勇気も闘志も根気も覚悟も要る。
勿論、努力もだ。

例える。
我儘身勝手女、自分の事しか考えぬ女、常に自分中心の常識持つ女の性分を変え様とするのは難しい。
服従の精神が要る。
そんなスタミナありゃしないと思えば別れた方がいい。
これが越えて行くとゆう事である。
未練ありゃ越えるは難しい。
越えるには未練、切らなきゃならぬ。
苦しさが生じる。
直し正すに苦しさは要らぬ。
越えるには苦しさ生じる。

恋愛歴はこれぞ初恋と思ったのが小学6年生。
身も心も意識したのが高校1年生。
しかし、意識しただけで先へ進む事はなかった。
19歳で快感。
だが生きて食うに精一杯で快感の日々は冬花火の如く消えた。
22歳で自衛隊、24歳で栃木県・鹿沼CCの研修生。
冬花火にも夏花火にも縁遠き日々を過した。
愛知県・貞宝CCに移り、女房と出会った。
女房はCBCテレビ局の事業部に勤務していた。新入社員として事業部に配属されたばかりの時であった。
プロになったら結婚しようと約束し、すぐプロになり、7カ月後、結婚した。
そんな不器用で恋愛経験少なき私が、昔も今もゴルフと恋愛を同じ眼線で眺めている。

ゴルフと男と女の関係は一緒の様に思えて仕方ない。
ゴルフは恋なり、恋はゴルフなり、と思い続けて来た。
私の友人には下半身、旅人とゆう輩が実に多い。
珍々宅急便なる輩もいる。
その元気なる輩の話を聞けば聞く程にゴルフは恋なり、愛なり、旅なり、の想い、強く生じる。
純なる愛の寿命は3年、そっから先はお金の寿命、と私は言って来た。
ドライバーの信頼の寿命3年、そっから先はお金と好奇心と欲で新たな信頼、得に行くがゴルファーの性分と思う。
陽が落ちると下半身の羅針盤の針、東は西へ向き、北は南へ向くのが我が友人達である。
私とて過去に傷持つ身。
そんな無骨者がゴルフを語り、乗じて愛を語る図々しさ。

恋は歯車と歯車の相性次第。
合わぬ時、削って埋めて合わせるも善し、歯車全部、取り替えるも善し。直すか正すか、越えて行くかだ。
ドライバーの飛距離、欲しい時、スウィングを変えに行くか、球筋球質を変えるか、クラブを替えるか、シャフトだけ替えるか、等々。
考える程に想う程に恋愛とゴルフには一体の部分、多く在る様に思えて仕方ないのです。
己の過去と今の恋心を考えてみて貰いたい、今のゴルフ状況を考えてみて貰いたい。
出来る事は出来るし、出来ぬ事は出来ぬの結論、出るのではなかろうか。

結論を申す。
貴兄のクセは直せぬクセだ。
感受性強き性格であり、素直な性格でもあり、ただ事の是非、分析し取捨選択、得意と出来ぬ性分の方と思う。
一人でラウンド出来る環境持つ方ならば自分にとって不利益、と思われるラウンド、否定、拒否も出来ようがそれは総てのゴルファーにとって困難なりし事。
プロ、研修生なら出来る。
大学、高校、中学のゴルフ部員も出来る。だが貴兄にその環境はない。
影響受けながら、意識する己を意識しながらのラウンドが貴兄のラウンドである。
越えて行け。
それで何かが変ると思う。

坂田信弘

昭和22年熊本生まれ。京大中退。50年プロ合格

週刊ゴルフダイジェスト2024年5月7日・14日合併号より

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