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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.809「練習としての素振りは大いにすべきですが、打つ直前の素振りは1回で十分です」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

前回のお話はこちら


岡本プロの標語「素振りは1回ホイサッサ、ライン読むより空気読め」というのを知りました。素振りを何度もしてしまう私は、だから上達しないのでしょうか。そもそも素振りとは、何のためにするものなのでしょう?(匿名希望・51歳)


わたしが昔から口にする「素振りは1回ホイサッサ、ライン読むより空気読め」という合言葉、そこそこ知れ渡っているようですね(笑)。

何度も素振りを繰り返したり、グリーン上で自分の番が来てからラインの読みに長時間かけることを戒める標語は、迅速なプレーの進行を促すためのものです。

わたしの仲間内では、素振りなしルールで回ることもしばしばあります。

思わず素振りをしてしまった時は、1回につき1罰打とかでプレーすると、スロープレーの抑止につながるだけでなく、集中力が高まることでスコアも良くなるのかと思うほど、適度な緊張感が保てます。

ここでいう素振りは、ショット直前にクラブを試し振りする行動のことを指しています。

本番前の準備運動といった感じですかね。

そこでリズムを取っていると考えれば、わたしも軽い素振りくらいは寛容な気持ちで許せます。


ですが、5回も6回も時間をかけて念入りにやられると、見ているだけで疲れますし、いつ打つのかとこっちのリズムも乱れてくることもあります。

つまりわたしが素振りは1回と言っているのは、あくまでラウンド中にプレーヤーが自分の打つ番が来てから行う予行動作としての素振りのことです。

練習中の素振りやスウィング作りのために繰り返し行う素振りを控えろと言っているわけではありません。

問題は素振りという行動にあるのではなく、それを行うべきでないタイミングだということを理解してください。

もちろん素振りは、スウィングの反復をすることで体の正しい動きを各部の筋肉に刷り込むことが目的です。

筋肉記憶を蓄積することが素振りです。

ボールを打つわけではないので、正直、退屈に感じるかもしれません。

ですが、このプロセスを抜きにして安定したスウィングは決して身に付きません。

ボールを打つだけでなく、素振りも繰り返す、それが上達への第一歩です。

何度も反復してクラブを振っていると、体に負担のかからない動きが分かってくる。

それが理にかなったフォームにも通じる。

どんな名手や天才でも最初は素振りから始めたはずです。

わたしも若い頃は、ヒマさえあればクラブを握って素振りをしていました。

練習場でなくてもある程度のスペースがあればできますから、気が向けばすぐに体が動いていたといいますか。

昔は練習場へ通うのも大変でしたし、実際にボールを打つ練習をするのにも費用がかさみました。

今はかつてより練習環境も整い、ボールを実際に打つ練習がとてもしやすくなってきました。

だから練習といえば、とにかく球を打つことであって素振りは二の次という考え方になっていると思います。

ですが、そんなことはありません。

素振り練習は基本中の基本として有効であることは間違いありません。

素振りは、どれだけやってもし過ぎるということはありません。

一人でいる時は好きなだけやってください。

ですが、ラウンドしているとき所構わず周りを気にせず素振りするのはマナー違反です。

構えてからクラブを何度も振り回したりして、それがスロープレーの大きな原因になるのは明らかです。

最近は飛距離アップのウェイトトレーニングをするゴルファーも多いようですが、そういう場合も、きちんと素振り練習をして体の動きを確かめながら日々のドリルに取り組んでほしいと思います。

ボールを打つことも大事ですが、素振りで体各部の正しい動きをチェックすることも忘れないでください。

「素振り練習を真剣にやり続けると、どこの筋肉を動かすべきか体感できるはずですよ」

週刊ゴルフダイジェスト2024年4月16日号より

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