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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.808「スピンコントロールできるのがプロのゴルファーです」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

https://my-golfdigest.jp/column/p147587/
前回のお話はこちら


昨年、ご縁があって女子のプロアマ大会に参加させてもらいました。ドライバーはプロより飛距離が出ましたが、アイアンの違いに脱帽しました。私のほうがプロに比べて弾道はやや高いし力はあるはずなのにボールはグリーンに止まらないのです。これはどういう違いがあるのでしょうか(匿名希望・44歳・HC11)


プロのボールはグリーンで止まる。

それは、プロはボールをスピンコントロールしているからです

目標に正確に止めるためには、ショットのキャリーをどれだけ出して、どんな弾道で、どんな角度で地面に落ち、そこからどのくらい転がるか──とても厳密にいえばこのような計算や考え方が必要です。

クラブ番手ごとの距離や球筋など、自分のショットについて把握しておかねばなりません。

また、風向や風力によって距離や弾道は影響を受けますし、落下地点の地形や芝の状態によって着弾後の転がり具合は変化します。

どんなショットで攻めていくかは、空中だけでなく、着弾したあとのコンディションも考慮しなければなりません。

そのうえ、その日の天候や気温、湿度、標高など加味すべき要素はほかにもあり、ショットをする前にそれらすべてを含めて瞬時に判断を下します。

もちろん、そこまで気が回らないこともありますが、それが経験の差とも言えます。

参照データをすべて盛り込んだからといって、計算結果が常に正しい結果に結び付くとは限りません。
自然条件は気まぐれですし、人間であるゴルファーは毎回いつも通りの動きを精密に再現できないからです。


しかしプロゴルファーはいつも通りの動きを可能な限り実行するための練習、つまり計算通りの結果が出るような努力を日々しています。

アマチュアの方より飛距離で劣るプロゴルファーがいるのは確かですが、とても大切なスピンコントロールという技術がプロには備わっているのです。

このスピンコントロールを行うには、まずインパクトで常に一定の角度でヘッドを入れる技術が求められます。

これは練習場だけでなく、実際のラウンド中に「コレか!」と実感しながら身についてくるものだと思います。

その技術と感覚が備われば、打ちたい球筋に応じてヘッドの入れ方を自在に変えることができるようになってきます。

速いグリーンでも止まるボールは、ある程度高い弾道でバックスピンを利かせている。

プロはグリーンに適した弾道やスピン量を考えて対応しているのです。

こうした技術をものにするには、地道な練習を重ねる以外にありません。

ゴルフは老若男女どんなレベルでも楽しめるスポーツと言われます。

それぞれに悩みや迷いがあるのもゴルフの難しさであり面白さかもしれません。

だからこそ、自分はどこにラインを引いて楽しむかだと思うのです。

少し前に、自宅の庭仕事を頼んだ職人さんとお話しする機会がありました。

趣味の月イチゴルフで最近90を切ったということでしたが、それ以上はなかなか上手くいかなくて悩んでいる、とおっしゃっていました。

「ここから先はメンタルなんですかねぇ?」

と聞かれたので

「メンタルも大事ですが、まだボールを打つことのほうが先だと思いますよ。メンタルの問題はもっとやり尽くした時に出てくるものなので、もう少し先のことかしらね(笑)」

と答えて笑い話になりました。

あなたもさらなる高みを目指して練習がんばってください!

「ボールの行方だけでなく、ヘッドの入れ方にもこだわって練習してみては?」

週刊ゴルフダイジェスト2024年4月9日号より

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