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【ゴルフ野性塾】Vol.1811「長い指導は結果を生まぬ」

KEYWORD 坂田信弘

古閑美保、上田桃子など数多くの名選手を輩出してきた坂田塾・塾長の坂田信弘が、読者の悩みに独自の視点から答える。

前回のお話はこちら

この日、冬の風が
吹いていた。

季節を理解する必要はないと思う。
何故、この時期にこの暖かさ、何故、この時期にこの寒さの理由は周りが教えてくれるし、体で感じる事も出来るので理解、難しい事ではない。
常に変化在りだ。
季節の変化も変化の途上。
その先、進化が在るのか、退化待つのかは人の知恵、集団の知恵、価値観の知恵次第。
日本に住む私はアメリカ、中国、ヨーロッパの持つ知恵を浅薄と思うが、欧米、中国の知恵は日本を浅薄なる国と思っている様じゃある。
特に日本の政治家の持つ知恵は狭き地だけに通用する村人の知恵と教える人がいた。
確かにその類いの批判はアメリカ、ヨーロッパ、中国に行けば現地に住む日本の方から聞かされた。
アメリカとヨーロッパは民衆が国を滅ぼすだろうが、中国と日本とアフリカは政治家が国を滅ぼすとも聞いた。
大きく間違ってはいない様な気がする。
ただ、私は球を打ち、良き当りの球ではなく、ミス球少なきスウィングを目指すだけ。

スウィングを変えるのは指摘1つ。


「5日間連続で450球打った。昨日も450球だ。金と時間と楽しむ心と体力あれば出来る事だ。赤坂の15階マンションを夕方5時に出る。5時半から5時40分には西新の練習場打席に立っている。そして練習場打席で1時間半過す。400球から450球打った後、少しのストレッチ運動やって練習場を出る。行きも帰りも西鉄バスだが、15階を出て15階に戻る迄、3時間。私の一日の生活の中心だ、この3時間は。
 長男雅樹がいればゴルフコースにも行くが雅樹は大手前大学ゴルフ部員の指導で兵庫県の西宮で過す日が多くなった。年末年始、雅樹とゴルフやる予定は12月18日と28日と1月4日の3日間。18ホールプレーした後も西新の練習場には行く。400球打つ。18ホール、ラウンドした後の400球はきつい。しかし、楽しいのだから打って来た。楽しいと思う気持ちはエネルギーを生むぞ。義務とか習慣とか、使命なんて格好いいもんじゃないが、それ等よりも遥かに力持つのが楽しいと思う気持ちと思う。一日に一つの楽しむ気持ちあれば一日過ぎるは早い。
 前方への距離100ヤードあればいい。横の距離も100ヤードならば理想。球が飛んで行く前方の距離と打席の数、どちらが打ち易いかと申せば横の距離だ。10打席の練習場よりは20打席の練習場、20打席よりは30打席の練習場の方が打ち易いし、練習の工夫も出来る。西新の練習場は福岡の中心地から近く、横の距離持つ練習場故に、西新の練習場と出会えたは我が身の幸運。西新には感謝している。ただ、ジュニアゴルファーへの対応は悪い。そこが気になって仕方ない」

「今、多くの練習場が失くなっていると聞きますが、西新のゴルフ練習場、失くなれば困りますか?」

「困る。バスで通える街中の住宅地内の練習場だ。私を送り迎えするとゆう人は幾人もいるが、断っている。行くも戻るもバスがいい。歩く歩数も増えるしな。健康を考えての練習場通いじゃないが、体・技・心の心の健康維持するには格別たる通い事だ。失くなれば困る。スウィング中の音を聞けなくなるのも困る。私は端の打席4番で打つが、打席に向う途中、色んな音を聞く。
 説教とゴルフ指導は3分。それ以上の時間は必要なしと思う。ジュニア塾生と進化論塾生、大手前大学ゴルフ部員を指導して来た経験で申すが、長い指導は何を教わったか理解出来ていない事が多かった。長い指導は結果生れずの指導だった。1ポイント指摘、1ポイント改善の指導か、長所を1ポイント指摘してそこを伸ばす指導すれば人のスウィングは変る。多くを指摘し、多くを与えて、それ等を己のものとする人はいなかった。
 説教然りと思う。長い説教は退屈を生む。長い説教は説教する側の快感に過ぎぬ。セックスと買物だけだ、長い時間お付き合いして喜ばれるのは」

「坂田プロのセックス、長かったのですか? そして今も長いのですか?」

一番若そうな男の質問だった。
今が一番面白くて楽しい時なんだろうと思った。
50歳近くの者、ギョッとする表情になっていた。
質問に遠慮が失くなって来た。
いい事だ。
遠慮は変化の後の進化を阻む。
歴史が教えし事なれど、人の世、組織、いずれも周りの遠慮が人を裸の王様にして来たと思う。
いい事じゃない。
今の世、遠慮が多くなって来た。

「若いってのはいい事だ。私は遠慮なき質問を好んで来た。ただし長き質問は駄目だ。話のどこに質問の核があるのかが分らん質問は答え様がない。簡潔で短き質問がいい。答える。ゴルフも性欲も現役だ。なれど機会がない。相手がいない。そして相手を見つけるのが面倒。お前さんと同じ年齢の時、セックスも買物付き合いも長かった。今は相手なく、買物に付き合ってくれと言って来る人もいない。老いの悲しさはそこだけかな。面倒臭くなって来た」

「プロスポーツ選手ってモテるのでしょうか?性欲も強いと聞いてますが」

「人それぞれだ。私が知る限り、プロ野球界で一晩に自慰した回数一番多かった者は7回。広島カープの選手だった。プロゴルフ界では8回とゆう奴がいた。よく出来たなと問えばコスり過ぎて痛かったと言ってた。多分、奴は早漏だったと思う。でなきゃ2時間で8回も出来るもんか」

「凄いです。そんな人、いるんですネ」

「いた。だが今は知らん。30年前は剛の者が多く棲むゴルフ界だった。今は優等生多く棲むゴルフ界だ。面白くないな」

「男子プロが今一つパッとしないのはそこなんですか?」

「善玉30人と悪玉30人のいる世界、どっちが面白い? 私は悪玉30人棲む世界が面白いと思うぞ」

善の個性、悪の個性、いずれも必要と思うが、そのバランス崩れているのが男子プロの世界だ。
人は人それぞれだ。
善を好む人おれば悪を好む人もいるのが世間と思う。
スウィング中、一度の素振りの音聞けばその人のスウィング、見なくても予想はつく。
西新のゴルフ練習場、遠慮せぬ者が一人いた。
若き者ではなかった。
老いし人だった。
以下、次週稿―――。

坂田信弘

昭和22年熊本生まれ。京大中退。50年プロ合格

週刊ゴルフダイジェスト2024年1月2日号より

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