【ゴルフせんとや生まれけむ】緒方耕一<後編>「アイアンだけで回ったらベスグロが取れました」
ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、前回に引き続き、元プロ野球選手の緒方耕一氏。
現役を引退してからもコーチとしてユニフォームを着ている期間が長かったですから、集中的にゴルフに取り組む時期はなかなか作れず、年間30ラウンドくらいのペースでゴルフを楽しんでいます。10日から12日に1回ラウンドに行く感じですね。それくらいがちょうどいいです。
自分はラウンドに行くよりも練習場に行って「ああでもない」「こうでもない」と試行錯誤しているほうが好きかもしれないです。若いころは体力強化も兼ねて1日何百球も打っていましたが、最近は50球か100球を1~2時間かけて丁寧に打つのが楽しいですね。
そのときに一番多く打つクラブは5番アイアンと8番アイアンです。
ゴルフを始めたころに、あるプロゴルファーの方が「アイアンで真ん中のクラブは6番だから、6番アイアンをたくさん練習したほうがいい」とおっしゃっていたんですね。でも、自分はアイアンが4番まで入っているので、6番が打てても4番は微妙じゃないですか。だからミドルアイアンの真ん中の5番と、ショートアイアンの真ん中の8番をたくさん練習するようにしました。そうしたらアイアンが大好きになりました。
アイアンに関しては面白いエピソードがあります。ジャイアンツの先輩の吉村禎章さんが以前、毎年コンペを開催しており、いつも誘ってもらっていました。ところがコンペ前日にラウンドしていたら、ドライバーのフェースがパキッと割れてしまいました。翌日のコンペはドライバーがないのでアイアンだけでラウンドしたら、なんと76で回ってベスグロを取ることができました。「ドライバーなんか下手に使わないほうがいいな」と思いました(笑)。
ジャイアンツ時代の同級生とも毎年1回、コンペをしています。僕は昭和43年生まれなんですけど、同じ年生まれの選手が10人くらいいたので、43(よさん)会という集まりを作りました。そのメンバーで毎年1回、ゴルフをした後に泊まって宴会をしたり、食事会をしたりしています。
43会のコンペで何年か前に川邉(94年までの登録名は川辺忠義)がホールインワンを出しました。多摩カントリークラブ(東京都)の少し打ち上げになっているパー3で、ボールがいい方向に飛んだのでグリーンに乗っていると思ったら、ボールがないんですよ。「あれっ、ないな」とみんなで捜していたら、カップの手前がボコッとえぐれていて、カップをのぞいたら入っていました。あのときは鳥肌が立ちましたね。でも、カップインした瞬間が見えていたら、もっと盛り上がったのでしょうね。
43会のメンバーには僕が入団した年のドラフト1位・木田(優夫)もいます。木田は現役時代からゴルフが好きで、僕らの中では上手だったんですよ。ところが何かのきっかけで「やめる」と言い出し、一切やらなくなりました。43会の集まりも、宴会には顔を出すけどゴルフには参加していませんでした。でも、現役を引退してからゴルフを再開しました。最近一緒に回っていないので、久しぶりに回ってみたいですね。
緒方耕一
おがた・こういち。1968年熊本県生まれ。86年ドラフト6位で巨人に入団。俊足を生かしてスイッチヒッターに転向し、90年と93年に盗塁王のタイトルを獲得。ケガの影響もあり98年に30歳で現役を引退。巨人、日本ハム、ヤクルトのコーチを、09年、13年のWBCではコーチを歴任
週刊ゴルフダイジェスト2023年9月19日号より