Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • 週刊GD
  • 【ゴルフせんとや生まれけむ】松尾雄治<後編>「ミスターとは週2、3回ラウンドしていました」

【ゴルフせんとや生まれけむ】松尾雄治<後編>「ミスターとは週2、3回ラウンドしていました」

ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、前回に引き続き、元ラグビー選手の松尾雄治氏。

前編はこちら

僕のゴルフライフを語るうえで絶対に欠かせない人が2人います。1人がミスタープロ野球の長嶋茂雄さん。長嶋さんが巨人軍を離れていた87年から、93年に監督に復帰するまでの約6年間、週に2、3回は一緒にゴルフをしていました。

長嶋さんと初めて会ったのは僕の引退試合の時。テレビの仕事で来ていたのかな、試合後、長嶋さんがいきなり近づいてきて「おお、雄ちゃん、お疲れさん!」って。初対面なのにね(笑)。それからゴルフに誘ってもらうようになって。

長嶋さんはもちろんお上手なんだけど、それ以上にとにかく楽しいゴルフなんです。朝会うと大きな声で「おはよう!」、帰りも大きな声で「今日は楽しかったなあ。また会おうなあ。さよなら」と言って帰っていく。いつ会っても明るいんです。僕が「長嶋さんの人柄」なんて話すのはおこがましいけれど、ゴルフの時の長嶋さんのスタイルを見ていて、こういう人が日本中を引っ張ってきたんだなあ、明るくしてきたんだなあと思いました。


長嶋さんって球場に息子を忘れたまま家に帰ったとか、いろいろな逸話があるけど、ゴルフの時もそう。長嶋さんとのラウンドは我孫子か鷹之台のどちらかだったんですが、前の日に電話があって「明日は鷹之台でやるよ」って言うんですよ。で、3人で鷹之台で待っていたら、いつまでたっても長嶋さんが来ない。そのうち電話がかかってきて「我孫子で待っているよ」と言うんです(笑)。昨日、確かに鷹之台って言ったけどなあと思いながらも「そうですよね、我孫子ですよね」と、慌てて駆けつけたことが何回もありました。長嶋さんって集中力の塊みたいな人だから「今日はゴルフだ」と思ったら、そのことで頭がいっぱいになってコース名はすっかり忘れちゃう。しかし、何事においてもすごい人です。

さて、もう1人の欠かせない人がビートたけしさん。たけしさんともよく一緒にラウンドしましたが、僕が一度だけやっているホールインワンのときの同伴者がたけしさん。我孫子の185ヤードの打ち下ろし、7番ホールだったかな。5番アイアンで打ったらハーフトップ気味のボールがグリーンの土手に当たってそのままコロコロとカップイン! 僕以上にたけしさんが「入った、入った」と大喜びしちゃって「松尾、友達を呼べ。今日は俺のおごりだ」って言って、六本木の店で20人くらいでどんちゃん騒ぎ。本来なら僕がみんなにごちそうしなきゃいけないのに、全部たけしさんが払ってくれました。

ゴルフとラグビーって両方イギリスから来ているスポーツということもあって根底には同じようなフェアプレー精神がある。ゴルフは審判がいないし、デタラメをやろうと思えばできる。ラグビーは審判はいるけど、見つからなければいいという人もいる。ゴルフもラグビーも自分自身に勝つ、己への挑戦、ですよね。

今後の夢はエージシュートだけど、それはちょっと難しいかなあ。それより仲のいい友達といつまでも一緒にプレーしたり、ゴルフを通じて昔の友達との交流を再開したりするのもいいなあと思います。

松尾雄治

松尾雄治

まつお・ゆうじ。54年東京都生まれ。中学時代からラグビーを始め、明治大学、新日鉄釜石(現釜石シーウェイブス)、日本代表の不動の司令塔として活躍。日本ラグビー史上屈指のスタンドオフといわれる。現在は西麻布でバーを経営する傍らタレントとして活動中。ベストスコア68

週刊ゴルフダイジェスト2023年8月1日号より