【ゴルフせんとや生まれけむ】森山栄治<前編>「ゴルフもギターも“独学”で突き詰めるのが好きなんです」
ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、 俳優の森山栄治氏。
20代の頃でしたからもう20年以上も前の話になります。大のゴルフ好きだった長崎のオヤジに、クラブを握ったことすらないのにいきなりコースに連れて行かれたことがありました。
「どうせドライバーは打てんやろけんが、ずっと7番ば持っとけ。ボールば5個持って見つけられんやったら、その辺にポイッと置いて打ってよかけん。お前はグリーンに乗ったらよかよか。後ろから来るけん、走れ走れ」とオヤジに言われて。終始そんな感じで焦って回ったので、正直全く面白くありませんでした(笑)。何だ、これ、走りに来ているわけじゃないぞというのがその時の率直な感想でした。
それでしばらくゴルフから遠ざかっていましたが、コロナ騒ぎが始まる少し前にオヤジがゴルフから引退してクラブ一式を貰ったことから、じゃあ本格的にやってみようかということで練習場に行くようになったんです。今度はすっかりハマりましたね。
もともと僕の中には妙なこだわりがあって趣味のギターもそうなんですけど、先生のレッスンを受けることはしたくないんです。誰にも教わらず独学でマスターするのが好きなんですよ。だから、ゴルフもYoutubeを見たり本を参考にしながら練習場で実践してみる。そして、コースで新しい課題を見つけるとまた打ちっ放しで練習するという繰り返しです。
でも、自分でも何かモヤモヤするのは、コースに行ってミスショットを打っても打ち直しができないじゃないですか。もう1球打てたら絶対にいい球が打てるはずなのにと考えるとすぐに練習場に行きたくなる。逆に練習場に行ってナイスショットが出ると、今の感じを忘れないうちにすぐにコースに行って試したくなるんですよね。それができないもどかしさみたいなものが付きまとっていますね。
僕は昔、剣道をやっていました。最近、ある人から剣道の剣のさばき方はゴルフのコックに通じるところがあるらしくて、剣道経験者はゴルフがうまいという話を聞きました。でも、残念ながら僕の場合はまだその影響は出ていないようです。そのうち、それがひょっこり顔を出してくれると嬉しいんですけどね。
ラウンドにはいろんな人と行きますが、同じ事務所で俳優の(平野)宏周とよく行きます。
- ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、ウルトラマンZで主役のナツカワハルキを演じた俳優の平野宏周氏。 学生時代、野球とアメリカンフットボールをやっていたのですが、ゴルフというと、もっと年を重ねてからの“大人のたしなみ”というか、スポーツではなく“レクリエーション”という感じを……
当時は担当マネジャーが同じということもあってすっかり意気投合。一緒に回るのは楽しいですね。宏周は何も考えていなそうに見えて(笑)、意外なほど真面目にゴルフのことを考えているんですよ。ボギーをパー、パーをバーディと考えて、ボギーペースの90が「パープレー」になるようにスコアカードを自分用にアレンジしてプレーしたりしています。確かにそう考えると気持ちが楽になるので、僕もその方法を参考にさせてもらっています。
宏周とは年齢は離れていますが、不思議な縁でつながったいい出会いでしたね。それにしても宏周は若いし、マメに練習しているからどんどんうまくなっています。頼むからあんまり練習しないでくれ、俺を置いていかないでくれというのが、実は僕の本音。この記事も宏周が読まないことを祈ります(笑)。
森山栄治
もりやまえいじ。俳優。1976年、長崎県生まれ。2001年に男性4人組演劇ユニット「*pnish*(パニッシュ)」を結成。素朴な公務員からハードなガテン系まで幅広く演じ切る実力派。ベストスコア96
週刊ゴルフダイジェスト2023年6月13日号より