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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.754「“傾斜地”はセオリーにとらわれず、自分の体験から答えを導き出しましょう」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

前回のお話はこちら


傾斜地は、つま先上下に左足上下の4種類。人によって苦手のライがまちまちで、それぞれの対処法も意見は様々。私はとりあえず、ボールを右足に寄せて構えているのですが、それが正しいのか不安です。(匿名希望43歳HC5) 


初めてゴルフ場でプレーしたとき最初に戸惑うのは、必ずしもライが平らではないことではないでしょうか。

ティーショットを除きボールは、おおよそつま先上がり・下がり、左足上がり・下がりの4種類だけに限らず、それらが複雑にミックスしているところだってあるのです。

初心者でなくても特に左足下がりは難しく、インパクトで左足がジャンプして打つタイプの人は苦手中の苦手なのではないかしら。

傾斜を前後左右と4種類に分けた場合、その傾斜地にあるボールにスタンスを取り、通常のスウィングをするとインパクトでのボールの位置がフラットなライと比べて体から遠ざかったり近づいたりします。

それに伴い、インパクトに向かってヘッドの入り方が微妙に変わってきます。

その結果ダフりやすくなったり、トップしやすくなったり、通常より横回転が多くなったりします。

その作用と傾向を頭に入れたうえで、いつもよりひざに余裕を持たせた構えで、ヘッドが入りやすくなるようオープン気味のスタンスを取ったり、ボール位置を調節する──というのが傾斜地でのショットの一般的なセオリーでしょう。


ですがプレーヤーにとってショットする際に一番大切なのは、そこで何が起こっているかを分かることよりも“感じる”ことではないかと思います。

ボールをとらえた瞬間に「あ、フェースの先に当たった」「開いた」とか、「かぶった」といった感覚が体に伝わってくるはず。

そうなると、「もっとこうしたほうがいいのではないか」という工夫なり反応が湧いてくるはずです。

それが練習のなかで生まれる試行錯誤というものでしょう。

要は、経験量の違いだと思います。

傾斜地は普段の練習場で練習することが難しいです。

コースでのラウンド中も、そう何度もつま先下がりや左足下がりのケースに遭遇するとは限りません。
どんなに練習熱心なゴルファーでも、いつも打っているのはあくまでフラットなライが基本。

極端な傾斜地で打ったことなど、ほとんどないというのが実情です。

練習していないのだから、苦手だし上手く打てないのは当たり前です。

プロの場合、試合で傾斜地のピンチに陥った経験が何度もありますから、ラウンド練習でもその厳しい状況の対応策を繰り返し試します。

回数を重ねれば、打ち方の要領をマスターできるし、自信をつけることもできます。

ただある選手が、極端なつま先上がりからスライスをかけてグリーンを狙ったときは本当にビックリしました(笑)。

昔は傾斜に来たら、とにかくひざの柔軟性を生かして余裕を持ってオープンに構えろ、と教わったものですが、反対にクローズに構えてボールを右寄りに置くと教える人もいます。

その背景には、クラブが進化して、ボールをとらえることに関しては一昔前とくらべて安定性が格段に良くなってあらゆるライにも対応しやすくなっている、ということが挙げられるかもしれません。

ですがもちろん、そうした対応を可能にするのは、自分のスウィングメカニズムを深く理解していることが最低条件。

そこからセオリーにとらわれることなく、自分なりの対応策を編み出せばいいのです。

このライなら自分のボールはこう飛んでいく。

それをまずは自身の体験として感じてわかることです。

まずは、傾斜に従った自分の球筋の変化の傾向をしっかり把握すること。

それは自分の飛距離のスケールを作ることと同じほど、スコアメイク術の基本だと心得ておいてください。

「常に感覚を研ぎ澄まし本番で生かしていますか?」
PHOTO by AYAKO OKAMOTO

週刊ゴルフダイジェスト2023年2月28日号より

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