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「1km/hぐらい大丈夫」が命取りに…ゴルフ銀座・千葉で急増中! 恐怖の“移動式オービス”最前線

渋滞にハマってスタート時間に遅れそう。ゴルファーなら誰もが経験する状況だが、近頃は“移動式オービス”なるものが出始めて、ますます取り締まりが強化されている。その実態を探った。

TEXT/Masato Ideshima ILLUST/イドガエル

解説/今井亮一さん(交通ジャーナリスト)

交通違反などを取材・研究し、関わる著書も多数。これまで8500件以上の裁判を傍聴してきた

解説/小野塚竜太さん(ユピテル・マーケティング部)

レーダー探知機などの開発のパイオニアであるユピテルに勤め、交通の知識も豊富

「10㎞/h超ぐらい平気でしょ」
それが“移動式”の餌食に

高速道路などの固定式オービスの多くは重度の違反、いわゆる“赤キップ”に該当するものでないと原則取り締まらないため、意外とオービスで捕まった、という人は少ないのかもしれない。それが移動式オービスでは軽微な違反も許されないらしい。交通ジャーナリストの今井亮一氏によると、近年、移動式オービスでの取り締まり数が増えているとのことだ。

「独自に調べた統計によると2020年の速度取り締まり件数は116万2420件で、そのうち高速道路などにある固定式のオービスは3万8689件。移動式オービスは1万5680件です。まだ件数は少ないものの、徐々に移動式オービスの取り締まりが増え続けています。移動式オービスを導入し始めたきっかけは一般道での歩行者に対する取り締まり強化のためです。クルマと歩行者の事故を減らすことで自治体としては住みやすい街づくりを実現し、市民への貢献度も上げることができます。ドライバーとして気をつけなければならないのは、原則法定速度を1㎞/hでもオーバーすれば取り締まりを受ける可能性があるということです」

コースへ急ぐために裏道を抜けるといったこともスピードを出し過ぎていれば住民にとっては危険な行為にあたる。今井氏は今後さらに移動式オービスが増加していくと予測する。

移動式オービスとは……

●法定速度を1km/hでも超えると取り締まりの対象になる
固定式オービスと違い、移動式オービスは監視員がオービスと一緒に視認するため現行犯という認識で取り締まる。1㎞/hでも超過すると取り締まりの対象になる

●警察の立ち会いが必ずあるのがポイント
固定式オービスと異なるのは監視員がいること。そのため現行犯という認識で取り締まる

●種類は2種類
・レーダー式(MSSS)……センシス社のMSSS。レーダー波を使用するタイプ
・レーザー式(LSM-310)……東京航空計器のLSM-310。レーザー光を使用するタイプ

固定式オービスは年々減少している

「固定式オービスの問題としてはメンテナンスの手間や人員不足があります。また一般道での取り締まりとなると人員を割くのも、取り締まるスペースも課題になります。その点で移動式オービスは監視員がオービスと一緒に視認し、違反者を写真に収めて後日出頭させる形式なので、それらの課題をクリアできます。ちなみに正式名称は可搬式オービスと言います」

【固定式オービス】
高速道路でだいたい時速40km/h超で反応

高速道路やバイパスにある固定式オービスは主に重度の違反を取り締まるもの。メンテナンスの手間など課題が多い

警察側のデメリット
・機器のメンテナンスが大変
・設置場所が運転者に把握される
・運転者に通知書を送るまでが大変

【通称“ねずみ捕り”】
一般道に多くその場で取り締まりを受ける

“ねずみ捕り”と呼ばれる取り締まりは、定置式速度取り締まりと言われるもので、速度だけでなくスマホの操作なども対象だ

警察側のデメリット
・1回の取り締まりで多くの警察官が必要
・違反手続きを行う広いスペースの確保
・1回の取り締まりに対して時間がかかる

【追尾での取り締まり】
全国で最も取り締まり数や検挙数が多い

白バイや覆面パトカーなどの追尾による取り締まりは全国でもっとも検挙数が多いが、検挙する効率が悪いという課題もある

警察側のデメリット
・取り締まり車両1台で1人しか取り締まれない
・1回の取り締まりに対して時間がかかる

千葉エリアの一般道は特に要注意

レーダー探知機やドライブレコーダーなどで有名なユピテルでマーケティングを担当する小野塚竜太氏にも話を聞くと、やはり移動式オービスは今後もさらに増えると予測している。

「現状、移動式オービスを積極的に取り入れている県警は千葉県と愛知県です。どちらも交通事故の件数が多いというのが理由ですが、千葉県に関して言えば、主にバイパスなど幹線道路ではなく、比較的狭い道路で行われているようです。それを考えても、対歩行者への安全確保を最優先に考えているということ。ゴルファーの皆さんは高速道路を降りた後こそ注意してほしいですね。特に制限速度30㎞/hや40㎞/hの道路は要注意です」

ちなみに移動式オービスを採用するかしないかは各県警の判断とのこと。また、1基がかなり高額なため、ためらう県警もあるようだ。

編集部が足で見つけた「移動式オービスMAP」

【市原エリア】
これはまさにゴルファー狙いか!?

ゴルフ場周辺に計ったかのように移動式オービスが! コースに近づいても、はやる気持ちを抑えて安全運転を忘れずに

【成田エリア】
空港周辺にも多くの「移動式」が

成田周辺にもゴルフ場は多い。高速を降りた後はついスピードが速くなりがちなので注意が必要だ

【木更津エリア】
IC付近にちらほら見られる

木更津エリアはまだIC付近にあるぐらいだが、日増しに増えるので油断できない

移動式オービスは駐禁ばりに増えそう…

今井氏と小野塚氏がともに口にしていたことも気になる。

「将来的には速度取り締まりも駐車違反のように民間委託になる可能性が高いという話を聞いたことがあります。立ち会いはひとりだけでいいと言ってもやはり限界があるわけです。定置式と違い、その場で取り締まらなくていいので、かなり効率は上がると思います。ただ、ひとつ問題があり、移動式オービスにはレーダー波を使う機器もあり、それは取り扱いには免許が必要。民間委託ではかなりハードルは高いと思われます。そこでレーザー式の東京航空計器の機器が増える可能性は高いのではないでしょうか」

とふたりは予測している。いずれにしても取り締まりは強化されていきそうだ。

月刊ゴルフダイジェスト2022年5月号より