Dr.クォンの反力打法 Vol.36 「ジャンピング」大のオトナは真似るな危険?
バイオメカニクスの第一人者、クォン教授による「反力打法」第36回。今回のテーマは、ジュニアゴルファーによく見られるインパクト前後の「ジャンピング」の動き。反力打法の究極形にも見えるが、クォン教授の見解は?
【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる
【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家
吉田 最近はジュニアゴルファーでも、プロに負けないぐらい飛ばす子がゴロゴロいますね。
クォン 我々より筋力も体格も小さいのに、軽々アウトドライブされてしまう。飛ばしは筋力だけではないという証拠だね。
吉田 ジュニアの多くは、インパクトで宙に浮いているんじゃないかと思うぐらい脚が伸びています。あの動きはどうなのでしょう?
クォン ジュニアに見られるジャンピングは、あくまで自然発生的なもの。十分な筋力がないために、脚を含む全身を使って筋肉を活性化させる必要があるんだ。
吉田 全身を使ってスウィングした結果、インパクトでジャンプする動きが生じると。
クォン そう。ジャンピングは地面を思いっきり利用した結果であると同時に、全身の筋肉を一度に稼働させる方法でもある。筋力が十分でないと、下半身の筋肉を上半身と切り分けて動かすということも難しいしね。
吉田 強い力を発揮するために、全身の筋肉を総動員しなければいけないわけですね。
クォン だからタイミングさえ間違っていなければ、ジャンピングは必ずしも悪い動きではない。体全体を使って大きな地面反力を得ているわけだからね。
吉田 でも、スウィングのたびにこれだけ大きく体を動かすと、再現性が低くなる気がしますが。
クォン もちろんそれは否めない。こればかりは、反復練習するしかないね。それからもうひとつ、ジュニアゴルファーが注意しなければならないのは、良いスウィングのイメージをはき違えてしまうこと。ジャンピングは先ほども言ったとおり、地面を強くプッシュした結果生じるものであって、体と地面を効率よく使うひとつの方法にすぎないということを肝に銘じておく必要がある。
吉田 インパクトでジャンプするスウィングが、追い求めるべき最終形ではないということですね。
クォン そう。あくまで筋力がない段階で最大限の力を発揮するための臨時スウィングと考えてもらいたい。大きくなって、体も強くなるにしたがって、より理想的なスウィングに転換する必要がある。
吉田 両足ではなく、左足で地面を強くプッシュするやり方ですね。
クォン そうすれば自然とジャンピングの動きもなくなってくるはずだよ。
Dr. クォン&吉田洋一郎
『驚異の反力打法』
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