【キミこそ王子だ】Vol.277 好きなものは足利尊氏と枝豆!? 将来有望な熊本の中3女子
雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は熊本県出身、玉名市立玉名中学校3年の荒木七海さんだ。しなやかな腕使いで、高弾道のドローボールを武器とする。そんな彼女のスウィングを武市が詳しく解説しよう。
今回の王女候補
荒木 七海さん
あらき・ななみ ●主な戦歴/2021 九州女子選手権4位 ●ベストスコア/67(鹿児島空港36CC) ●練習/毎日210球~280球
熊本県で練習場を営む祖父の影響で小学校1年からゴルフを始めた荒木七海さん。現在、中学校3年生だが九州では屈指の腕前で、今年初めて「日本女子アマチュアゴルフ選手権」出場を果たした。
ちなみに、姉の荒木優菜さんは、日章学園高等学校の2年生でナショナルチームのメンバー。2018年に当コーナーにも登場してもらった。
コーチはつけず、始めたときからずっと父親が師匠だ。
「お父さんの教えで、一番気をつけていることは何?」
「よく『その場で回転しろ』と言われるので、気をつけています」
「いわゆる1軸のスウィングを意識しているんだね」
「以前は、クラブが上から入りすぎていましたが、それを意識してから、よくなりました」
そんな彼女の持ち球は、ドライバーはストレートに近いが、それ以外はキレイなドローボールで飛距離も出る。全体的に球が高く、アイアンもドローだがよく止まるのが特徴だ。
「七海さんはバックスウィングで上体を右へシフトせず、その場で上体を回転させる1軸で打つタイプ。以前は、上からクラブが入るクセがあったというけど、今は入射角が緩やかにヘッドが入っているから球も高い。その理由は、インサイドアウトの軌道にある。そもそも、1軸というのは、インサイドアウトにヘッドをコントロールしやすい打ち方だけど、それに加え、彼女はボールを少し右に置き、絶対にクラブが上から入らないようにしている。さらに、バックスウィングで右腰を切り上げるように回転させていることで、体の右サイドのスペースが大きくなるから、余計にインサイドからクラブを下ろしやすくなる。すべての動きが、理にかなっているから無理がないし、気持ちよく振れている感じがする」と武市。
1軸か2軸かは、どちらがいいとか悪いとかはなく、自分に合ったものを選べばいいというのが武市の持論。そういった意味でも「七海さんには1軸が合っている」と言う。
「彼女はグリップも緩く、腕もしなやかで、肩から下を“シャフト化”することができる。こういうタイプは1軸が向いている。2軸は上体をシフトさせてシャフトの運動量を増やすから、強い体幹が必要になってくる。彼女はまだ筋力トレーニングをしていないので、今の段階では、1軸が正解!」とお墨付きを与えた。
「足利尊氏と枝豆が好き」と言う七海さん。夢は、将来プロになり姉妹で活躍することだ。
「ふたりとも有望だから、夢はきっと叶うと思う! っていうか、趣味が渋いね(笑)。枝豆はボクも毎日食べてるけど、なんで足利尊氏?」
「伝記を読んでカッコイイ! って思いました」
「歴史に名を刻んでね!」
「はい、がんばります」
鎌倉幕府を滅ぼし、室町幕府をつくった足利尊氏のごとく、新しい時代を築くことを期待しよう!
週刊ゴルフダイジェスト2022年7月12日号より