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“飛びすぎ”はゴルフにとって悪なのか。「ボール規制」本格化へ…最もダメージが大きいのは?

長年の懸案だった「飛びすぎるボール」への規制が本格化しそうだ。

規制に従わない新団体も出てきたりして……(PHOTO/Tadashi Anezaki)

このほどゴルフルールの総本山R&AとUSGAは、現在のボール初速に対して規則をもっと厳しくするとの提案を発表した。

これまではボール初速がヘッドスピード時速120マイル(53.6m/s)で打ったときに規定のスピードに到達しないボールを適合としていたが、今後は時速125マイル(55.88m/s)から時速127マイル(56.77m/s)で打ったときのボール初速が基準値に収まるボールのみ認めると変更したのだ。

これはミート率(ボール初速÷ヘッドスピード)を抑える意図で、すべてのトッププレーヤーが一定の割合で飛ばなくなるわけではなく、飛距離の出る選手ほど影響が大きいとされる。飛ばし屋のB・デシャンボーなどは相当な飛距離減になると予想される。用具の進化によって(選手の努力ももちろんあるが……)あまりにも一部の飛ばし屋たちに恩恵が過ぎるという見解なのだろう。ただし、この基準に照らせば、現在市販されているボールのほとんどが、ルール違反になる可能性が高い。

さらに08年に一度規制されたドライバーにも、反発性能においてさらに厳しい制限を加えたうえ、慣性モーメントにも大幅変更が提案されている。

「今回の決定打というべき提案は、やはり伝統のあるコースが用なしになることを恐れたからでしょう。オーガスタナショナルの13番が隣のコース用地を買って、延ばしたティーが完成したといいます。もうこれが限界だということです」(TV解説者・タケ小山氏)

これまでも、“飛びすぎ”に対してR&A、USGAはさまざまな対応をしてきた。J・ニクラスの“ケイマンボール推奨”に始まり、02年にはドライバーのヘッド体積の上限を定めた(だいぶメーカーに譲歩したが)。今年1月にはクラブ長さの上限を48インチから46インチに変更すると発表。実は、両団体は5年ほど前から秘密裏にボールテストを繰り返していたという。

遅すぎると不満をもらしたのは、両団体で長くルールコミッティにいて、さまざまな規制を提案してきた川田太三氏だ。

「もう20年前から提言していましたが、両団体ともこの話題を避けていました。というのも用品に制限を加えようとすると、メーカーサイドからの訴訟も含めて猛反発を食らいますから。だからアマチュアのエンジョイゴルフと競技の世界を分けろと言いたいんです。野球での金属バットと木製バットのようにね。アマの飛ばし志向はゴルフでの永遠の夢でもありますからね」

これから用品メーカーとのせめぎ合いが始まるだろう。

週刊ゴルフダイジェスト2022年7月12日号より

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