Myゴルフダイジェスト

【ゴルフに運はつきもの】Vol.23「日米を股にかけた連戦。小祝選手は大健闘でしたが、果たして私は…?」

最強のサラリーマンとしてアマチュア時代に輝かしい成績を収め、49歳でプロ転向した“中年の星”こと田村尚之プロ。群雄割拠のシニア界で気を吐く異色プロが、自身のゴルフについて、そしてシニアツアーの裏側について語る。

ILLUST/Masahiro Takase

前回のお話はこちら

シニアツアーは、第3戦のすまいーだカップシニアトーナメントが終了しました。優勝は真板潔選手、5年ぶりの優勝ですね、誠におめでとうございます。

これで真板さんはシニアツアーで7勝目。かなりの実力者ですが、ここ数年はひざの故障などで苦しいシーズンを送られていましたので、この優勝は本当に嬉しかったでしょう。

真板さんは、よく私の馬鹿話に付き合ってくれる優しいおじさんですが、これぞプロ! という厳しい考え方をお持ちで、私もプロゴルファーの先輩として、尊敬している方なんですよ。ゴルフクラブは自分で購入し、スポンサーも付けず、自分の腕で稼いでナンボ、という生き様はカッコいいですよね。私なんか、ついつい甘えちゃいますものね(笑)。

また、62歳で優勝されたのは、そろそろ赤いチャンチャンコが近づいてきた我々としても励みになります。真板さん、まだまだ頑張ってくださいね。


ところで私はというと、初日は5アンダーの67でトップタイスタート、2日目も69で2打差の3位をキープしていましたが、最終日が72止まりで6位タイのフィニッシュとなりました。最終日は前夜の雨でグリーンが重くなったせいもあって、パットが打てなかったですねえ。まさか夜に雨が降るとは思ってなくて、2日目のラウンドが終わったあとにしっかりパッティングの練習をしていたのですが。まだまだ甘いですわ。もし前夜に雨が降ってなかったら……でもそれがゴルフ、自然との闘いでもあります。まあ2週間前に腰を痛めてあまり練習もできなかったですし、初めて試合で投入したキャスコの新しい赤パターも試合で使えるめどは立ちましたので、収穫のあった試合ではありました。

この後はいったん広島に帰って、まずは体調を整えてスターツシニアと全米シニアオープンの連戦に備えたいと思います。まあこの原稿が皆さんに読まれている頃は、ちょうど私が全米シニアオープンで四苦八苦しているのでしょうね(笑)。

全米女子オープンでは、日本勢は小祝さくら選手の20位タイが最上位でしたね。昨年は笹生優花選手が畑岡奈紗選手とのプレーオフを制して優勝していますし、日本勢の優勝争いを期待していたので、ちょっと残念でした。ただ、小祝選手は前週日本でリゾートトラストレディスに出場し、しかも優勝してから渡米という強行軍だったので、よく頑張ったんじゃないでしょうか。今年の全米女子オープンは高額賞金ということでも話題になりましたね。賞金総額が1000万ドル(約13億円)で優勝賞金は180万ドル(約2億3500万円)ですか。20位タイの小祝選手の賞金が約1500万円でしたから、日本の女子ツアーの優勝賞金に匹敵する額ですよね。やはり世界的にも女子ツアー、というかゴルフ人気が高まっていますね。ありがたい限りですよ。

ちなみに全米シニアオープンの優勝賞金は……約1億円ですって!? ほ~、かなりの高額やないの。宝くじも買わなきゃ当たらない、なんて言われますが、私の場合は当たりのない宝くじですが(笑)。

私もスターツシニアが日曜に終わって、翌月曜日朝に全米シニアオープンに向けて渡米するという、小祝選手と同じスケジュールにはなっています。そりゃ自分もスターツシニアで優勝でもして、胸を張って渡米できれば最高なんですが……まずは日曜夕方に予約しているPCR検査に間に合わないとね。


田村’s ワンポイント
幸運を呼ぶ“赤いパター”はプロトタイプ

相変わらず、上位進出の鍵を握っているのは、パットの調子という田村プロ。2年ぶりの優勝をともに味わった「2ボール」からレギュラーの座を奪ったのは、キャスコ製の赤いパター。とはいっても市販品とはヘッドの形状が違っており、完全なプロトタイプ。この形状が真っすぐに構えやすいという

田村尚之

1964年6月24日生まれ。「日本ミッドアマ」2連覇、「日本アマ」2位などを経て49 歳でプロへ転向。2016年「富士フイルムシニア」でツアー初優勝

月刊ゴルフダイジェスト2022年8月号より