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【名手の名言】C・B・マクドナルド「バンカーに入る危険を冒すのは、自らに課した冒険である」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は米国コース設計の父とも称されるC・B・マクドナルドの言葉を2つご紹介!

C・B・マクドナルドは有名なナショナル・ゴルフリンクス・オブ・アメリカの設計でも知られる


バンカーに入る危険を冒すのは
自らに課した冒険である

チャールズ・ブレア・マクドナルド


C・B・マクドナルドは全米アマの初代チャンプであり、全米オープン創設にも携わり、コース設計も数多く手がけている。いわばプレーヤーの心理を知り尽くした設計家といえる。

バンカーを越えてすぐのピンを狙う場合、そのバンカーをギリギリ越えるショットを打つことができれば、ピンにピタリと寄せることができる。しかしそれは“冒険”だとマクドナルドは言う。

もし冒険をしたくなければ、安全にピンの奥へとボールを運び、バンカーをクリアすればいい。だから「ボールがバンカーに入ったからといって、そのバンカーを不公平だとなじることはできない」と言う。

バンカーをギリギリ越えられれば大きな報酬を得ることができるが、もし失敗すれば難しいバンカーショットが待っている。ピンを狙うなら、それくらいのリスクを伴うのは当然だと覚悟して臨むことが必要だと、この言葉は教えている。

バンカーに入れるのは嫌、しかしピンへは寄せたい。こんな曖昧な気持ちがショットの歯切れを悪くする。決断したらその冒険を楽しもう。たとえ失敗しても、次のバンカーショットをどう寄せてやろうかと嬉々として“冒険”を続ければよい。

設計家の仕掛けた誘惑に負け危険を冒すか、安全策を取るか。技術ももちろん大事だが、決断力もまた、ゴルフにおいては重要なファクターといえる。


風はゴルフの最も大事な財産である
風はさまざまに変化することで
そのホールはいくつもの顔を
持つことになるからだ

チャールズ・ブレア・マクドナルド


もし、風がまったくないゴルフ場があったとしたらどうだろうか?

どのホールも、ピンを真っすぐ狙い、決められた距離を淡々と打っていく。スコアは出るかもしれないが、なんだか味気ないものに感じるだろう。

ゴルフは自然を相手にするから、面白い。気まぐれな風がボールをバンカーへ落とし、気の利いた木が曲がったボールをフェアウェイセンターに戻してくれもする。ボールが落ちた地点の傾斜によって前へ跳ねたり横へ弾んだり……誰に対しても等しく不公平なところがゴルフをゴルフたらしめている。

「その自然のなかでも、最もバリエーションを演出するのが風である」と、マクドナルドはアメリカゴルフの黎明期に喝破したのである。

「アメリカゴルフの始祖」ともいわれるマクドナルドはシカゴゴルフクラブを始め、アメリカ東部に多くのゴルフ場を設計しているが、そのいずれもスコットランド・リンクスの名ホールの粋を集めたといわれる。

リンクスといえばいわずもがな、主役は風である。風は見えない。だからこそ想像力が必要となる。それがゴルフを奥の深いものにしているのだ。

「だから風を嫌ってはいけない。風が自分のゴルフのスキルを育てる教師と思え」と、マクドナルドは諭しているのである。マクドナルドは1895年、第1回全米アマ優勝者でUSGA(全米ゴルフ協会)の創始者。ゴルフ場の設計はあくまで副業で設計料はとらなかった。アメリカゴルフの始祖と呼ばれるゆえんである。

■チャールズ・ブレア・マクドナルド(1855~1939)

カナダ・オンタリオ州生まれの米国人。アメリカ人ゴルフ設計家第1号である父親が、1892年に9ホールのコースをシカゴに造った。その影響を受け、チャールズはシカゴに18ホールを設計した。シカゴゴルフクラブの発祥である。その後、東海岸を中心にリンクススタイルのゴルフ場を設計し、スコットランドの名ホールの粋を集めたといわれている。競技者としても一流で、1895年に開催された第1回全米アマの優勝者である。またUSGA(米国ゴルフ協会)の創始者で、「アメリカゴルフの始祖」と敬われる。