【ゴルフ初物語】Vol.83「ステルス」で話題の“カーボンフェース”。実は30年前に日本で続々と誕生していた
今年2月に発売されたテーラーメイド「ステルス」が大人気。赤いカーボンフェースが最大の特徴だが、今からちょうど30年前の1992年に、日本でカーボンフェースのクラブが誕生していた。
金属+他素材のフェースが可能に
基本構造が金属製のクラブのフェースに、他素材をはめ込んだり、付着させることは違反とするゴルフ規則の条文が、1992年のルール改正で削除された。すると早くも1月にマルマンがフェースにカーボンを埋め込んだ「MST31CF」アイアンを発売。2月にはヨネックスが「カーボンアイアンA」、3月にはダイワ精工が「G-3コンポ」で追随する。
当時の週刊ゴルフダイジェストの試打でも「テンプラ気味のショットでも飛距離が落ちない」「ロングアイアンでもボールが上がる」「1〜2番手飛ぶ」と好結果。だが「正式にルール改正の話を聞き、本格的に開発に着手したのが昨年の10月末。それから1月の発売までにあまり期間がなかったので、あらかじめ在庫を置くことができませんでした。ただいま生産ラインをフル稼働させています」と先駆けのマルマン。反響を予想して年間3000セットと多めの生産予定を立てていたが、実際には予想を上回ってしまう。ヨネックスも「通常は月500セット出ればヒット商品なのですが、3月だけで2000セット販売しました。生産が注文に追いつかず、お待ちいただいているのが現状です」と大ヒット。
すると各社からカーボンフェースのクラブが続々と発売される。ダンロップ「DDH BM40C/BM40S」アイアン、ブリヂストン「アルタス ワッパー」ドライバー、「レクスターHT-303C」アイアン、ミズノ「ビッグディッパーCF-12」ドライバー、「マキシマイザーCF」中空アイアン……。先行していたマルマンは「ギネス」「スッポン」シリーズにもカーボンフェースを搭載し、ダイワ精工も「パナサーコンポ」を追加。バブル崩壊で冷え切っていたゴルフ用品市場にかすかな光をもたらした。
世界初のカーボンフェースアイアンと謳い、1992年1月に発売されたのがマルマン「MST31CF」アイアン。この年、カーボンとメタルを組みわせたクラブが続々と誕生し、小誌9月29日号でもカーボンフェースクラブを特集していた
週刊ゴルフダイジェスト2022年4月19日号より
こちらもチェック!
- クラブのフェースには当たり前のようにスコアラインが刻まれているが、大胆にもその溝をなくしたアイアンが40年近く前に発売されていた。 摩擦でよりスピンがかかる 2010年から、いわゆる“新溝ルール”が施行され、一般のアマチュアも2024年から“旧溝”のクラブは競技等では使えなくなる。古いクラブを愛用している場合は注意が必要だが、そんな心配は無用のアイアンが40年……
- テーラーメイドがフェースまでカーボン素材を採用した新ドライバー「STEALTH(ステルス)」を発表したが、世界初の“カーボンウッド”は今から40年前に日本のメーカーから発表、発売されていた。 発表はヤマハ発売はミズノ 1982年、パーシモン全盛の時代に世界初のカーボンコンポジットヘッドのドライバーが日本で相次いで発表された。まず口火を切ったのはヤマハ(当時は日……
- 直径42.67mmのゴルフボールには300以上もの小さな丸い窪み、ディンプルが配されている。より遠くへ飛ばすため、ボールメーカーは素材や製法と同様に、ディンプルの研究にも余念がない。 航空宇宙工学から生まれた形 19世紀半ばに「ガッタパーチャ」と呼ばれる天然樹脂を使ったゴルフボールが登場すると、使い込まれて表面に傷がついたほうが、より飛んだことから始まったといわれるデ……