「住宅ローンを借りて遠征費用に…」殿堂入りのタイガーが語った両親への感謝
去る9日、タイガー・ウッズの世界ゴルフ殿堂入りセレモニーが行われた。プレゼンターを務めたのは長女サムさん。愛娘の紹介を受け壇上に上がった主役は、17分におよぶ感動のスピーチを行った。
事故から1年。「両脚で歩けるか心配した」というサムさんが「こうして歩いて会場に立つ父はファイター。あらゆる苦難を乗り越え、素晴らしいキャリアを築いてきました。私にとってはずっと前から“父親の世界殿堂入り”をしているけれど、今日ゴルフの世界殿堂入りする父を誇りに思います」と紹介すると、タイガーは感涙。
静寂のなかタイガーが語り始めたのは、自らの歴史。6歳のときゴルフに夢中になった少年がいかにして成長したのか。ときにはグリーンベレーだった父が通う軍のコースに「特殊部隊で鍛えられた軍人のように」忍び込み、日が暮れるまでラウンドしたこと(10歳未満はプレー不可)。肌の色ゆえクラブハウスに入れなかった経験。両親がどれほど自分のために環境を整えてくれたのかなど、これまで口にしてこなかった秘話を滔々と語り続けた。
殿堂入りという晴れの舞台だというのに、プロ生活25年で積み上げたツアー82勝やメジャー15勝についてひと言も触れることなく、決して裕福ではなかった幼少時代の思い出に終始したわけ。それは家族に対する深い思いがあったからだ。
息子を大会に出場させるため、両親は住宅ローンを借りて遠征の費用に充てた。プロ入りし、契約金を手にしたとき、まず彼が行ったのは住宅ローンの返済。希代のスーパースターは原点を振り返りながら今を見つめる。
「ゴルフは個人競技。でも私は一人ではない。両親、恩師、友人がいて、どん底のときも最高のときも共に歩いてくれた。これは個人ではなくチームの受賞です」
今は亡き父アールさんと会場にいた家族に捧げた17分。まさに圧巻のドラマだった。
週刊ゴルフダイジェスト2022年4月5日号より
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