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【PGAツアーHOTLINE】Vol.23 松山英樹「ウィニングフェードボール」

PGAツアーアジア担当ディレクターのコーリー・ヨシムラさんが米ツアーのホットな情報をお届けする隔週連載「PGAツアーHOTLINE」。第23回のテーマは、ソニーオープンを制した松山英樹の極上のフェードボールについて。

ARRANGE/Mika Kawano PHOTO/Blue Sky Photos

ドロー、フェードを完璧に打ち分ける

松山英樹がソニーオープンで優勝を決めた、プレーオフ18番パー5のセカンドショットを覚えている方は多いでしょう。

南国の陽射しを浴び、残り276ヤードを3番ウッドで放ったショットが、左から右へカーブを描き、ピンそば70センチをとらえイーグルチャンスを演出。この印象的な1打について2010年の米国プロゴルフ協会最優秀コーチに選ばれているトッド・アンダーソン氏は「すべてが完璧だった」と称賛します。B・ホーシェルやB・スネデカーを年間王者に育てたティーチングプロは「270ヤードはトッププロでも弾道が低くなる。しかしヒデキは柔らかく高い球でピタリと止めた」


今年のソニーオープンは、プレーオフの末、松山英樹が優勝。アジア人最多となるツアー8勝目を挙げた。ウィニングショットの18番の2打目のフェードボールは、全米中を驚かせた

もう1つ全米No.1コーチを驚かせたのは「ティーショットはドロー、セカンドはフェードを完璧に打ち分けた」こと。

「選手には持ち球があるのに両方をシェープできるヒデキの能力は驚異的だ」と感心。

もちろんアベレージゴルファーが松山のように球を操れるわけではありません。それでもポイントを押さえればフェードを打つことが可能だとアンダーソン氏は言います。

「フェードを打つ場合クラブの軌道に対してフェースが開いていなければならない。ヒデキはターゲットの左に体を向けフェースをターゲットに合わせ体に沿ってクラブを振ることで左から右にカーブするフェードを打っています」

球を真っすぐ打ちたいときはスウィングの軌道とフェースの向きは直角。フェードのときは、フェースの向きはそのまま(真っすぐ)でアライメントを左に向ける。左を向いたのにフェースまで一緒に左に向ければ、ただ左に球が飛ぶだけです。

「もっともシンプルな構え方は普通にアドレスしてから足、ひざ、腰、肩を左に向け、体の向きと平行にクラブを振る。これで誰でもフェードを打つことは可能。フェースの向きはボールを止めたい方向(ターゲット)、体は球を打ち出したい方向に向け、体と平行にスウィングすればナチュラルフェードの完成です」

「ピンを見すぎるとクラブを体に沿って振らずターゲット方向(右)に振りがち。視線は出球とピンの中間に置くのが良いでしょう」

そして最後は迷いを捨て、目の前の1打にコミットすること。それはどのショットにも共通のミッションです。

コーリー・ヨシムラ

PGAツアーのアジア全体のマーケティング&コミュニケーションディレクター。米ユタ州ソルトレーク出身でゴルフはHC6の腕前

週刊ゴルフダイジェスト2022年3月22日号より