Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • 週刊GD
  • 【ゴルフせんとや生まれけむ】 佐藤拓也 <前編>「ベストスコアと同時に訪れた“悲劇”」

【ゴルフせんとや生まれけむ】 佐藤拓也 <前編>「ベストスコアと同時に訪れた“悲劇”」

ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、ミュージシャンの佐藤拓也氏。

僕の趣味はサウナに野球観戦、そしてお酒を飲むこと。考えてみたら全部オジサンが好きなものなんですよね(笑)。それならばオジサンがやっていることは、例外なく楽しいに違いないと思って“いつかチャレンジしようリスト”の1番に入れていたのがゴルフでした。興味を持ったきっかけがちょっとヘンって言われますが、この逆説は間違っていませんでした。

一昨年、コロナの影響で全国ツアーやイベント、新曲のリリースが軒並み中止になってしまい、始めるなら今しかないと一念発起。ゴルフ好きの父に相談したところ、すぐにクラブセット一式を送ってくれました。父はいつか僕が始めるのを待っていたのかもしれませんね。まずはやってみようの精神で、練習場に通い詰めました。先生はもっぱらYouTube。当たらず、飛ばずという状態から、練習するほどにできるようになっていくのは楽しかったです。


コロナ流行の波が落ち着いた頃、すでにゴルフを始めていたメンバーの前田恭介と練習に行くと「もうラウンドできるよ!」と言われました。そんなの先の先と思っていたので若干ビビりましたが、2カ月の練習場修業を経て、晴れてコースデビュー。これまでとは桁違いの楽しさに触れて、帰りには次のラウンドの予定を決めていましたね。

普段は都市部で生活し、制作はスタジオ。そんな僕にとって、ティーイングエリアに立ったときのパッと開けた視界や、広いフェアウェイの真ん中に一人で立ち、広大な空間を独り占めしている感じがたまらなく贅沢に感じたんです。だから今でも、フェアウェイが広くて真っすぐ抜けているようなコースが好きですね。

朝から始めて、たっぷり遊んでもまだ昼間というのも、僕には合っていました。これまで知らなかった場所や時間で、こんな楽しいことをしている人たちがいるのか! って。衝撃でしたね。バンドマンなので、朝は活動しないって思われるんですが、andropはけっこう“朝派”。10時からリハーサルとかバリバリやっています(笑)。

前田とはその後、何度かラウンドしています。一度、千葉のコースに一緒に行ったときのこと。僕はその日絶好調でした。ただ、後半になるにつれて、腰のあたりが「張っているな」っていう感覚があったんです。でも、ベストスコアの更新が見えていたということもあり「こんなところでは引けない」と、毎ショット全力で振っていました。そして18番、最後の1打を打ってベストスコア更新! そのボールをピックアップしたときにやってしまったんです、人生初のぎっくり腰を。自宅に帰るまでの1時間半。あんなに時を長く感じたことはありません。ライブや収録がない時期で本当に良かった。それ以降は、ケアしながらやっています。

こうして、実は近くにあったのに、その魅力にまったく気づいていなかったゴルフにどっぷりハマりました。そして、僕が知らなかったのは朝の時間帯やゴルフ場という場所だけでないと、すぐに知ることになったのです。
(つづく)

佐藤拓也

さとうたくや。愛知県岡崎市出身。4人組バンドandropのギター担当。2009年にCDデビューし、これまでに11枚のアルバムをリリース。2014年代々木第一体育館で単独公演を実施。ドラマ「グッドドクター」など数多くのドラマ、映画、CM等の楽曲を手がける。昨年12月、約4年ぶりとなるフルアルバム「effector」をリリース。ベストスコア99

週刊ゴルフダイジェスト2022年2月15日号より