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【待ってろ、ウエハラ!】大畑大介vs上原浩治のマッチプレー後半戦。勝負の行方は?

日本ラグビー伝説のウイング大畑大介と、世界一を知るストッパー上原浩治。東海大仰星高時代のクラスメイト2人による、プライドをかけたマッチプレー対決もいよいよ後半戦。ゴルフ歴、ベストスコアともに上回る上原が圧倒的優位とみられたが、約4カ月に及ぶ特訓の成果をいかんなく発揮した大畑が食い下がり、4番を終わってイーブン。勝負の行方はいかに……。

PHOTO/Hiroaki Arihara TEXT/SHOTANOW THANKS/東松山CC

大畑大介(左)……1975年11月11日生まれ。ラグビー元日本代表、伝説のウイング
上原浩治(右)……1975年4月3日生まれ。読売巨人軍の元エースで元メジャーリーガー
前回のお話はこちら

1番ホールでいきなり上原に1UPを許すも、2番をドロー。3番(パー4)を取ってふりだしに戻し、4番もドローに持ち込むと、ここまでマッチイーブンの大畑。迎えた5番パー5。大畑の勢いはとどまるところを知らず、ティーショットはまたしても300ヤードのビッグドライブに。一方の上原は調子を上げられず、左の林に入れてしまう。

上原 ぜんぜんアカンわ。ちゃんと当たらなくなってきた。

大畑 お~い、上原クン。こっちはフェアウェイのど真ん中で待ちぼうけ。次は何打目?

上原 2打目も失敗してこれが3打目や!

大畑 さすがに、3打目はナイスショットやね。グリーン手前まで行ったんちゃう。オレも負けてられへんぞ。

――欲をかきすぎたのか、大畑のショットは右45度にすっ飛んでいくシャンクになり、まさかのセカンドOB。さらにショックが癒えぬまま打った4打目をチョロしてしまった。

大畑 ガーン、盛大にやってもうた。もうこのホールはヤメで、残るは練習モードや。

上原 切り替え、早っ。

大畑 オレがセカンドショットを打つまでは、圧倒的に優位な状況だったのに、自ら流れを持ってくるとはさすが“仰星を代表する2番手投手”やね。

上原 そこは“日本を代表するストッパー”でええやろ。恥ずかしいから自分で言わすな!

大畑 いずれにしても、このホールで眠れる獅子を起こしてしまったのか。マズい展開やぞ、これは。

上原 いや、お前が勝手に崩れただけやろ。

――相変わらず息ピッタリ(?)の2人は、6番のパー4にやってきた。流れは完全にオナーの上原かと思われたが、なんとここでティーショットをシャンク。打てる場所には残ったが2打目もシャンクが続き6オンと大崩れのホールとなった。


上原 前のホールでお前がシャンク出しとるから、うつってしまったやないか。同じことして、どんだけ仲良しやって思われてるのが嫌だ……。

大畑 そんな、つれないこと言うなよ。ラグビー部と野球部で、部室が隣同士やった仲やん。

上原 よくそんなこと覚えとるな。それにしてもティーショット、エラい飛ばしてないか?

大畑 327ヤードだから、ワンオンするんじゃないかと思って振りちぎったった。

上原 こっちがシャンクしているんだから、手堅くいこうとか考えろよ。

大畑 ワンオンしたほうが企画的に面白いでしょ。

上原 タレントか! でも結果的に2オンしとるしな。なんか、どんどん上手くなってない?

大畑 あ、気づいた? 青木翔コーチにラウンドレッスンをしてもらったときも「ホールをこなすごとにレベルアップしてる」って、変なモノを見る目で言われたわ。

上原 ジャンプの主人公かい。そんなやつ現実にいるのか。

大畑 「雑草魂」の人に言われると光栄です!

上原 別に褒めとらんわ。

――6番でまたもやイーブンに戻る大接戦。続く7番は右ドッグレッグの449ヤード・パー4。

大畑 フェアウェイが右に曲がっているから、スライサーのオレは構えやすい。なんか普通に打ったらフェアウェイなりに飛んでいきそうなイメージが持てる。これはチャンス到来!

上原 でも、ホール図には右はOBって書いてあるで。

大畑 ガーン。それはオレが最も聞きたくない呪いの言葉。せっかく気持ちよく構えようと思ってたのに、なんてこと言ってくれるん。

上原 親切で教えてあげただけやろ。そういうオレもシャンクが続いているから、右OBは嫌やな……。

――互いに右を嫌がりながら臨んだ7番のティーショット。結果、上原は右にプッシュ。大畑もスライスで、ともにOBの危機!

2人のティーショット動画はこちら

大畑 一応、暫定球を打ったけどなんとかあってほしい。あわよくばオレのだけ……。

上原 それ、思ってても言ったらアカンやつやろ。

大畑 スマン、心の声が思わず出てしまったわ。

上原 正直すぎるわ。

――互いにOB方向へ打ち出すショットだったが、2人ともにセーフ! やはり“持っている”男たちはミスをしてもただでは転ばない。次打で大畑がフルショットできない状況からフェアウェイに見事に脱出すれば、上原は果敢にグリーンを狙いグリーン手前のガードバンカーまでボールを運ぶことに成功した。

上原 3打目はバンカーショットだけど、前に進んだから良しとしよう。大介はまだ距離があるけど、ライは悪くなさそう。でも、さっきのホール3パットで、このホールのティーショットもミス。そろそろ集中力が……。

大畑 あぁ、やってしまった! またしてもチョロが出て1打が無駄になった。次、乗せても4オン。オレとしたことが。

――ミスが目立ち始めた大畑を尻目に、上原はバンカーショットを無難にこなし、再びリード。

大畑 歯車が狂い始めている気がする……。ラグビーって前後半80分で、ハーフタイムがたいてい12分くらい。だから、90分ほどで集中力の限界がくる体になってしまってるんだと思う。

上原 わかるわ、そういうの。

大畑 プロゴルファーって、移動しているときとショットに入るときで、オン/オフを切り替えるやろ。あれがスゴイ。青木コーチにも次のショットに向かうまでは、いったん気持ちは切るくらいでいいって言われたけど、それができん。

上原 ラグビーはプレーが切れているとき、パチッと気持ちをオフに切り替えたりはしないの?

大畑 それはないわ。いったん切ったら、入れるのめっちゃ大変。コンタクトスポーツはアドレナリンがドバドバに出てないとケガにつながるから、試合が始まったらノーサイドまでは絶対に切らさん。

上原 そんだけ長いこと集中しとったら、切れたときがフニャフニャやろ。

大畑 それが今かもしれん(笑)。

上原 オレはもともと先発もやってたから、次の回が来る10分くらいあれば気持ちは切り替わるけど、プロゴルファーってそれをホールごとに瞬時にやってるんやからスゴイな。

大畑 ラグビーとか野球に比べると目に見える動きは少ないのに、メンタルの動き方は尋常じゃない。オレらもプレッシャーに対する強さは人並み外れてると思うけど、それとはまた別のメンタルコントロールの方法が必要だと思うわ。

――珍しく(?)アストリートらしい深~い会話で盛り上がる2人。そうこうしているうちに、8番ティーに到着した。


上原 7番を終わってオレが1UP。このホールを取れば勝ちや。

大畑 565ヤードのパー5。左右は広く見えるから、ここはもう一発の飛距離に期待するのみ!

上原 毎回、作戦っぽいこと考えとるけど、結局はいつもマン振りやん。

大畑 あ、バレた? ホール図的には、飛ぶなら左の林の上を狙ってOKみたいやけど。

上原 そんなん言う通り狙えるなら、毎ホール苦労せんわ!

大畑 何にキレてんねん(笑)。

――お互い腹をくくって臨んだティーショットは、くしくも揃って左の林へ突っ込んでいってしまった。

上原 また、仲良しコンビみたいになってしまった……。

大畑 OBじゃないけどかなり厳しいな。オレは高い木が生い茂る林越え。上原は振りにくそうな林の中。でもここは勝負をかけんとアカン場面。木の上を越す高弾道ショットで前進あるのみ。

――逆転の望みを託した大畑の1打だったが、わずかに高さが足りず惜しくも林の中へ……。そこからのリカバリーにも手こずり、結果7オン。一方の上原は林の中からナイスアウトで、さらに200ヤード超のショットを見事に決めて3オンとした。

大畑 人が苦しんでいる横で、なんちゅうショットを打つねん。君には慈悲の心というものはないのか。

上原 高校のクラスメイトにそんなもんあるわけないやろ。ここで決めさせてもらうぞ。

――最後は上原が2パットで沈めパー。大畑も粘りに粘ったが、8ホール目で終戦となった。

上原 最後、大介の林越えが決まっていれば、またプレッシャーがかかってオレもきつかったと思うわ。

大畑 おとなしく横に出しておけば大崩れはなかったかもしれないけど「そんなこと期待されてないぞ」っていう声が聞こえて、欲をかいてしまった。

上原 その“魅せよう”ってのはトップアスリートの悪い癖や。

大畑 また出直してくるんで、再戦お願いします! 結果が出ないのはコーチの責任やしな(笑)

上原 嫌な生徒やな。

大畑 次は絶対に勝つ!

今回の勝者は上原。顔は笑っている大畑だが、この10分後にはすでに闘志の炎がメラメラと燃え出した模様。

最終結果

大畑上原
1番 PAR454上原 1UP
2番 PAR344上原 1UP
3番 PAR456イーブン
4番 PAR355イーブン
5番 PAR5106上原 1UP
6番 PAR457イーブン
7番 PAR465上原 1UP
8番 PAR595上原 2UP

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戦い終えて、2人のカートトーク。「まあ、正直なところ善戦したと思うで」と、やや微妙な笑顔の大畑。「ゴルフを本格的に始めたのなんてここ1、2年くらいなんやろ? すごいわ。しかも、毎週レッスンまで受けて……」と上原が返すと「いや、あれはゴルダイの“撮り溜め”やねん。毎週通っているわけやなかったの」と、取材の内情を暴露しだす大畑。トークを終えたところで大畑が「あっ、今日のカート、ナンバーが『19』。これ、上原の背番号やん。こんなとこにフラグが立っとったとは。次はカートナンバー『14』で頼むで」と、半ば強引に次戦の準備をにおわす。果たして「リベンジ編」はあるのか!? 乞うご期待!

アフタートークはカートにて。カート番号が「19」なのは偶然だった

週刊ゴルフダイジェスト2022年2月1日号より