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【男子ファイナルQT】「年齢は関係ない」53歳・手嶋多一の挑戦

<2021ファイナルQT Supported BY SMBCモビット/トム・ワトソンGC(宮崎)/6984Y・パー72/12月7日~10日>

宮崎県のトム・ワトソンGCで開催された男子のファイナルQT。会場には、大学生の若手選手に交じり、53歳のベテラン・手嶋多一の姿も。レギュラーツアー出場を懸けた真剣勝負の模様をレポート。

PHOTO/Tadashi Anezaki

「皆の緊張感が伝わってくるし、僕も本当にドキドキした」(手嶋多一)

今大会出場最年長の手嶋多一は、9月の日本シニアオープン優勝時に語っていた。「ここまで(レギュラー)7週連続予選落ちで、精神的にもうダメだと思った。この優勝の勢いで、最後のレギュラーツアー参加にならないよう頑張りたい。でも、ダメなら予選会に一度行きたい気持ちもあります」。その後、シード権獲得のチャンスだったフェニックスで失格。カシオで37位タイもシード獲得に及ばず。そして本大会にやってきた。

大会を終え、まずは「ホッとしました」と言った手嶋。「4日間が、今シーズンが終わった。8月から1週も休みなく試合に出て、いい悪いは別として一生懸命やりました」。そして今年を「ジェットコースターのようだった。こんなに忙しい1年は初めてだった」と振り返った。

手嶋が前回予選会に参加したのは、日本プロゴルフ協会がツアーを運営していた時代。「27年ぶりでしたが、試合とは違う緊張感があった。試合は1ストロークが順位を決める。ここは来年の試合の出場順位が1ストロークで決まる」。ここに大きな違いがある。「自分もですが、一緒に回っている選手の緊張感が伝わってきた」。そんな手嶋の戦いは、「皆さんの気合いにも圧倒されて」終わった――。

自己コントロールできた者が仕事場を得る

本大会初開催のトム・ワトソンGCはリゾートコースの明るい雰囲気がありながら、松林でセパレートされた狭く戦略的なコースだ。ファイナルは6日間が4日間に変更され予選落ちがなくなったこと、出場93人がツアーメンバーのカードを手にできることで、以前より“苛酷さ”は減ったかもしれないが、1つでも順位を上げ、より多くの試合に出たい思いはひしひしと感じられた。しかし、難セッティングに選手は苦しみスコアは伸び悩む。それだけでなく、緊張、焦り、調子の悪さ、欲……各々を苦しめる要素は多い。自己をコントロールできた者だけが、上位に入ることができるのだ。

本大会前後にプロ転向した学生は8名。注目学生たちも苦労した。飛ばし屋の河本力(日体大4年)は、「コースに対応しきれずにスコアをどんどん崩してしまった。対応できる実力がなかった」。ツキのなさにも途方に暮れる1週間だったという米澤蓮(東北福祉大4年)は、「生きていればそういう週もあると思います。でも、単純に実力不足。真摯に受け止め、来年に向けて調整したい」。学生で唯一上位の2位に入った平田憲聖(大阪学院大3年)は、「本当に実感がない。(1位になれず)悔しいですけど、僕にとっては十分いい成績が出せた」と淡々と話す。1位は、オーストラリア出身のアンドルー・エバンス。5月に来日し帰国せずそのままQTに臨んできた。

1位は好きなコースで攻めた豪州のA・エバンス

最終日、攻めるプレーで7アンダーの大逆転。一旦帰国し来年の開幕に備える。「日本ツアーは素晴らしい。全部出られる? フル参戦は初めて。頑張りたい」

例年、レギュラーツアー出場の目安は上位20位前後だったが、コロナ禍の渡航制限による外国人選手への特別保証制度で、本大会での有資格者枠が減る可能性がある。

29位で終わったベテラン、手嶋多一は、それでも前を向く。シニアだけではなく下部にも出場しつつ、出られるレギュラーには挑戦したいという。「鉄人・室田(淳)」が理想だ。

「(室田プロは)59歳でレギュラーシードを復活させた。僕は今53歳。今回も年齢は関係ない。技術でカバーできなかった。まだ工夫やアプローチの仕方はあると思うので、もっと頭を使ってやりたい。体は大丈夫ですが脳疲労みたいになる。今週も2日目は朝からボーッとしていて、いきなりダボ、ボギー、ダボと。何をしてるんだろうという感じになった。休むところは休まないといけません」

「死にざまを見にきたんだね」と冗談も口にしながらスタートした手嶋だが、プロの1つの“生きざま”を見せてくれた。下位に沈んだ選手の多くが「実力不足」と言った。QTこそが、弱点や課題を見つけ、今の自分と向き合う場になるのだ。

青木功会長が激励

手嶋の下部ツアー参戦表明に「俺もそうだけど、ゴルフがないと何もやることがない。何の仕事でもそうだけど、これしかないと思ったら、それが人生だよな」

2位は大阪学院大3年新人プロの平田憲聖

3日目「68」と爆発。日本学生で優勝し飛躍の年に。「シンプルな動きにしてショットがよくなった。ゴルフでも魅せて、周りに感謝を忘れないプロになりたい」

日本OP覇者の小林正則は20位に

日本オープン覇者、同じミズノの契約選手同士で回った小林正則と手嶋多一。他の若手選手たちのプレーにも「ナイス!」などと声を掛け合っていた

<男子ファイナルQT 最終成績>

1位A・エバンス-8
2位平田憲聖-7
3位竹内優騎-5
4位篠優希-5
5位川上優大-5
6位大内智文-4
7位岡田絃希-3
8位小西貴紀 -3
9位岩崎亜久竜 -3
10位尾崎慶輔-2

週刊ゴルフダイジェスト2021年12月28日号より

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